しゃっくこと橘俊明は、京都で生まれ京都の美術大学に進学した。
その後、カヤックに入社しディレクターになる。
初めは、右も左も分からず、ただ先輩の言うことを聞いていた。
先輩たちはたくさんアドバイスや指示をくれるけど、ただ言われたとおりにしても、全然自分が出せないまま翻弄されて終わってしまう。
「人に言われたものではなく、自分でやりたいと思うものをつくりたい。そのほうが自分のモチベーションになるし、一緒にやる人も、本当の気持ちで誘える。」
でも、新人ゆえにそんなことは言い出せなかったし、まだ早いと思った。
そこでしゃっくが考えついたのは…色々な先輩の良い
ところをつまんで取り入れる「ビュッフェ式」だった。
「○○さんに憧れる。そう言った瞬間に、その人のパチもんになる。だから色々なすごい人のいいところを、ちょっとずつパクろう」
たとえば、
鈴木さんは「信じる」プロ。
新人にも大きな仕事を全部丸ごと任せてくれるけど、その代わり、コケたら一緒に謝ってくれる。
瀬尾さんは、資料づくりがものすごく丁寧。
仕様書が綺麗だと、チームの時間が大幅に短縮できることを教えてくれた。
「1年目はなにやっても褒められる。でも、2、3年目になると、できて当たり前になり、注意もされなくなる。だから、1日のどこかで自分のことを振り返る時間を持て」
そう教えてくれた嶋田さんも師匠のひとり。
しゃっくはその教えを守り、毎日帰り道、自転車をこぎながら、今日の俺ここが良かったな〜とか機嫌が悪いのが顔に出ちゃってたかな〜とか「ひとり反省会」を欠かさないようになる。
北川さんは、チームのモチベーションづくりのプロ。
「ものづくりは楽しくやるのが第一。つらいけど頑張れっていうのは疲れちゃうでしょ。笑うとドーパミンが出て、仕事が楽しくなってくるよ」
そんなしゃっくの活躍を、こっそり物陰から見ていた人物がいた…。
「しゃっく、一緒にベトナムに行かない?」
声をかけたのは、社長のやなさんだった。
採用面接のため、ベトナムに行くことが決まったやなさんは、新卒を「カバン持ち」(と言っても実際にはカバンは社長自身が持つのだが…)としてひとり誘おうと決めていた。
それにしゃっくが選ばれたのだ。
「ベトナムですか?行きます!」
ふたつ返事で行くことを決めたしゃっく。やなさんとふたりで、一泊二日の弾丸ベトナム出張へ出かける。
「しゃっく、最近どう?」
一緒にベトナム名物のフォーをすすりながら、しゃっくにそんな質問を投げかけるやなさん。
今がチャンスだ!しゃっくは入社当初から温めていた思いの丈を打ち明ける。
「やなさん、僕、ソーシャルゲームチームに
行きたいです。」
「えっ。なんで?」
主にインターネット広告の受託制作の仕事をする「クライアントワーク」チームで活躍してきたしゃっく。
まだまだこれからという時に、自社のコンテンツ制作をする
「ソーシャルゲーム」チームに
異動したいと言いだしので、
やなさんはちょっと驚いた。
「気持ちは分かった。いいよ」
しゃっくのまっすぐな熱意はやなさんに認められ、帰国後、ソーシャルゲームチームに配属される。
そして今、しゃっくはチーフとして、ベトナム、中国、インドネシアなど海外からの社員たちが集まるチームをまとめている。
まずは言葉のコミュニケーションを図るところから考えないといけないこのポジション。
務め上げられるのはしゃっくしかいないだろうと言われている。
先輩たちのあらゆるいいところをつまみ食いしながら成長してきたしゃっくは、いつの間にか、どんな人ともスゴいものをつくれる万能ディレクターへと進化しつつあるみたいだ。
カヤックの制度紹介
旅するカバン持ち
カヤックの次世代育成プログラム
社長の柳澤が、採用活動などで出張に行く際、若手の社員が一緒についていく制度です。
面接も一緒にします。そうすることで、会社が何を求めているのか、人をどう見極めればいいのかなどを学べます。
さらに移動時間に対話することで、柳澤の考え方を吸収したり、自分の企画をプレゼンすることができます。そうすることで、カヤックを支える次世代を育成する取り組みです。
師弟制度
師匠の背中を見て学ぼう
新人には、必ず師匠がつきます。
同じプロジェクトを一緒に進めることで、仕事の仕方を学ぶOJT制度です。