出資・M&Aに対する考え方
「人」を売り買いすることはもちろんできませんが、企業は「法人」と名付けられてはいるものの人工物ですので、ルール上は、売ったり買ったりできるということになっています。しかし、企業を構成しているのは、生身の人間です。そんなにドライなものではないとカヤックでは考えています。
僕らが出資やM&Aをするとき、いちばんこだわりたいのは、一緒になる生身の人間、つまり仲間です。
お互いに尊敬して成長し合えるかどうか。一緒に組んだらどんなシナジーが生まれるのか。それを徹底的に考えると思うのです。そういったことを遠慮なく話し合う過程で、きっとお互いの相性もわかるのではないかと思います。
ちなみに、シナジーには、大別すると、一緒になることで新たな価値が生まれ、売上が上がるという側面と、一緒になることで効率化が進みコストが下がるという側面があります。ですが、実際にM&Aしてからシナジーを出せるかどうかは、お互いの覚悟の問題だと思うのです。
カヤックは、規模の割には事業が多い会社です。グループ会社の事業領域や立地も異なります。だからこそ、非効率にならないように、シナジーを出すのがとてもうまい、そんな会社になりたいと思っています。
ところで、カヤックと相性の良い、すなわちシナジーが生まれそうな事業や、会社とはどういうものでしょうか。
1つ目は、もともとカヤックは、社員の90%がクリエイターの会社です。Web上での高い技術や優れたクリエイティブが競争優位性につながるような事業は、カヤックのクリエイターが全面バックアップしますので、すぐにシナジーが出せるのではないかと思っています。
そして、2つ目は、理念に投資している会社です(これは、そういう会社といっしょに仕事したいという願望を含みます)。
「理念を大切にしているかどうか?」これは定量的に測れるようなものではなく、非常にあいまいなものであるのが難しいところですが、具体的には一人ひとりの社員が理念を見つめなおすための仕組みや、理念に基づいた評価制度が具体的にあるかどうかが大切だと考えています。
そして理念を見直して、バージョンアップしているかどうか。そんな風に、理念に投資している会社と一緒に仕事できたらと思っています。もちろん仕組がまだない場合でも、理念を大切にしたいという気持ちがあれば、カヤックの管理部門チームが理念構築や浸透のための社内制度をつくるお手伝いもできます。
理念があることで、自分の信念がよりたしかなものになったり、迷わずスピーディに決断できるようになるのは、経営者であれば実感するものだと思います。もう一歩進んで、理念を見つめ直し徹底的に考えるプロセスが社内にあることで、結果として、事業軸・組織軸の両方でイノベーションが起きることすらあると僕たちは信じています。
逆に言うと、そこまでの効果がない理念は、見直した方がよいのかもしれません。
理念は無形のものですから、短期的に見ると、投資とリターンの関係がはっきりしません。ですが長期的には、理念に投資をすることで必ず価値となって返ってくるものだと考えています。
クリエイティブに対する投資も同じです。一見価値の測りにくいものに投資をするには勇気が要ります。ですが、クリエイティブに投資し続けることで、人の心を動かすブランドがつくられるのだと思います。
つまり、理念に投資できる会社は、目で見えない価値に投資ができる。それはクリエイティブに投資ができる会社でもある。だからこそ、カヤックとシナジーが生まれるはずだと考えています。
カヤックと資本提携をして、一緒に切磋琢磨したいという方、熱烈大歓迎です。お待ちしております。
面白法人カヤック社長日記 No.37 カヤックが、出資先に期待すること。協力できること。カヤック的事業提携の考え方
代表柳澤から事業提携で仲間になる社員の皆さまへ向けたメッセージです。
https://www.kayac.com/news/2016/2/yanasawa_blog_vol5