2009.07.23
「wonderfl build flash online」×「IAMAS」世界初!「フィジカルコンピューティング連携機能」を実装
株式会社カヤックは、同社運営のブラウザ上でFlashをつくり共有できるWebサービス「wonderfl build flash online」( http://wonderfl.net/ )において、岐阜県立国際情報科学技術アカデミー(IAMAS)の准教授小林茂が主催するプロジェクトとのコラボレーションにより、世界初となる『フィジカルコンピューティング連携機能』を実装いたしました。
フィジカルコンピューティングとは、標準的なパソコンの付属品のようなキーボードやマウスという標準的な入出力デバイスではなく、センサーやモーターのような物理的(身体的な動作)な情報を扱える入出力デバイスで、コンピューターをコントロールし、よりインタラクティブな表現を行うことを目指す研究分野です。
今回の共同開発では、株式会社カヤックがウェブサービス(wonderfl build online)におけるソフトウェアおよびシステム開発、IAMASがフィジカルコンピューティング対応に関するソフトウェア開発および入門者のためのコンテンツの開発を担当しています。
既に対応ハードウェア(Gainer I/OモジュールやArduinoボード)を持っている方は、従来からのwonderflの機能であるソフトウェアの公開に加えて、ハードウェアの回路図、回路の組立や体験の様子の動画を投稿することができます(画面キャプチャ画像参照)。
対応ハードウェアを持っていない方は、フィジカルコンピューティングを始めるのに必要な全ての情報(ソフトウェアのソースコード、ハードウェアの回路図)を同一画面で閲覧することができます。
wonderflは、2008年12月にサービスを開始して以来、日本国内で9000名以上のFlashクリエイターに利用されています。『ブラウザで簡単にFlashをつくることができて、共有ができる』として、Flashに触れる人を増やすことを目指してサービスを運営してきました。このたびの実装機能を利用することにより、電子工作の経験の無い方でもWeb上で簡単にフィジカルコンピューティングを体験できるようになります。フィジカルコンピューティングをはじめるにあたってのハード的な敷居を下げ、より豊かな表現に触れる機会を提供したいと考えます。
※フィジカルコンピューティングについて
フィジカルコンピューティングは、ニューヨーク大学のITPでインタラクションデザインを教えるための方法の1つとして考案されたものです。コンピューターが理解したり反応したりできる人間のフィジカルな表現の幅をいかに増やすかということを目的とし、デザインやアート教育の1つの分野として定着しています。
※Gainer について
IAMAS の学内プロジェクトがきっかけとなって開発された、パソコンとセンサーやアクチュエータをつなぐためのツールキット。ソフトウェアの技術を用いて現実世界の物体を制御することが可能となり、専門的なハードウェアの知識がなくても、プログラミング環境(公式言語は「ActionScript」「Max/MSP」「Processing」)下で実装が可能。オープン・ソースのソフトウェアおよびハードウェアとして多くのバリエーションが生み出されており、プロトタイピングのための環境として注目を浴びています。
参考: http://gainer.cc/
※IAMAS について
IAMAS(イアマス)は、情報科学芸術大学院大学と国際情報科学芸術アカデミーという岐阜県立の二つの学校の総称。アカデミーは高卒以上の学生を受け入れる二年制の専修学校で1996年の創設、修士課程のみの大学院大学は2001年の開学。高度情報化を重要な政策とする岐阜県が、情報社会の新しいありかたを創造する表現者の養成、人材養成の拠点として、県の情報産業拠点であるソフトピアジャパンとともに設立。
※小林茂氏 について
電子楽器メーカーにソフトウェア技術者およびシンセサイザーのサウンドデザイナーとして勤務した後、2004年よりIAMAS。IAMASではDSP(Dynamic Sensory Programming)コースでフィジカルコンピューティングやインタラクションデザインに関するレクチャーを担当。