2014.02.05
遅刻常習犯と社長が遅刻について対談
今回は、柳澤大輔たっての希望である「クリエイターと時間の考え方」という対談です。参加したのは、代表の柳澤、時間に厳しいデザイナーの佐藤ねじ(ねじくん)、同じく時間にルーズと言われているディレクターの三好拓朗(みーよ)の3人です。
朝の遅刻と会議の遅刻の2種類にわけられる
- 柳澤
- 同じカヤックの仲間でも、ねじくん(佐藤)は時間に厳しいチーム代表で、みーよ(三好)は遅刻が多いチームの代表。僕もそんなに時間に厳格ではないし、比較的ルーズな方だけど、みーよ自身は遅刻に関してどうなの?
- 三好
- あの、遅刻組の代表として命を受けたのでここに参加してはいますが、僕もそこまでひどい方ではないんじゃないかと…。もちろんなければないに越したことはないと思います…けど、朝が苦手で。
- 柳澤
- なにそれ。もうダメじゃん(笑)。
- 三好
- いやもう今日は対談とはいいつつも、みんなに責められていろいろと言われるんだろうと覚悟しています。最初に言い訳させてください。もちろん、しない方がいいとは思ってるんですが、してしまうんです。ごめんなさい。
- 柳澤
- それで損をしている部分はあるよね?
- 三好
- …ないと思います。
- 柳澤
- おいおい!それは自覚がないだけだと思うよ!!!僕も決して時間に厳しい方ではないので、自身のルーズさのせいで損をしてるなって自覚があるもん。
- ねじ
- 僕も朝はむしろルーズな方でしたけど、『朝イチでメールは読むな!』って本を読んでから変わったんです。一番作業効率のいいのが朝だと気づいたんですよ。だから今も、遅刻云々じゃなくて、創作に一番いい時間を削るのはもったいないから、朝は早く出て、夜は早めに帰ろうってスタンスにしているだけですし…。
- だから、遅刻にも質の違いがあって、朝が弱いって人の遅刻は、その大半は直せる気がするんですよ。意識次第で。会議の遅刻はちょっと質が違う気がしますね。
- 柳澤
- なるほど、朝の遅刻と会議の遅刻では遅刻の質が違うか。興味深い指摘だね。確かに朝起きられないっていうのは理由としては学生っぽい気がする。それは僕も40歳にもうすぐなるから、よくわかる。朝弱くて遅刻するのは生活習慣だから、意識で努力してよくなる部分もあるからね。学生時代はルーズでも、社会人になり子どもができてそのリズムに慣れると自然に改善されるなんてこともあるし。
- でも、それとは別に会議の遅刻をしてしまう人は、何か根本的に時間に対する意識が低いというのはあるかもね。ただ、僕も決して時間に対しては厳しいタイプじゃないので言い訳するのなら何かに没頭して時間という概念を忘れてしまうみたいなことはあるよね。
遅刻チーム代表の三好
時間に対する意識を変えるには?
- 柳澤
- 9時30分が定時だけど、みんな9時30分には来てないよね。ちなみに、僕の前にすわってる人事部がとくにひどくて、9時30分どころか午前中ほとんどいないからな。ほんとあれはどうにかしないと……。
- ねじ
- 時間ぴったりを目指して来るとどうしてもそうなりますけど、1時間前を設定にすると結構いいですよ。僕は今は8時30分に出る設定だから、子どものことで遅れて9時に着いた時でも遅刻した感覚になるくらいですし。
- 三好
- い、居場所がない……。
- ねじ
- でも、三好さんは社内で遅刻を面白く言い訳する達人だって言われていたよね。
- 三好
- そうですね。でもその代表みたいにされていましたけど、僕は一つも面白いことを言おうとしてないんですよ!踏切が30分間ずっと空かないとか、以前の下北沢駅だと本当にありましたし。
- 柳澤
- いやいや、そんなの他の会社じゃ通用しないからだめだよ!…ってこれは自戒を込めてのみーよへのプレッシャーだからね。代表3人のうちだと、CTOのかいちは遅刻が嫌いだし、CBOの久場やんもあまりしないから、僕が一番怒られる。でも、2人から注意され続けたからこそ、今はだいぶ変われたと思うしさ。ほんとに変われるんだよ。変われる自分を信じてないだけなんだよ。
- ねじ
- 遅刻の注意の仕方も難しい部分がありますよね。響く人と響かない人がいて、その響かない人にこそ届くようにしないといけないですし…。個別に言うのが効果的なんですかねえ。
- 柳澤
- 遅刻の回数が多い人は独立するとその時間に対する価値がわかるようになると思うんだよね。だから業務委託になるとかはいいと思う。
- 全員
- えっ!
- 柳澤
- そうすると僕らの言ってることが本当に伝わりそうだから。
- ねじ
- そういえば、それまで遅刻をしていた人が突然しなくなる場合もありますよね。あれは何がきっかけなんでしょうかね。
- 柳澤
- まあ、だから、一度でも自分が何かで変わった経験があったり、変わるイメージが持てたりする人だとそこまで難しくないはずなんだよね。その遅刻する人って自分が時間にルーズで変われないと思っている人も多いから。意外と簡単に人は変われるって思ってる人は、劇的に変えられる。
- できないって諦めている人はその経験が少ない。まずそこが問題だと思う。あまりにも時間が守れない人は、簡単なことでいいから、今できないことを一つ克服して、そういうのを積みあげていくといいかも。自分が変わることが実感できれば、時間の観念も変えられるんじゃない。
- ねじ
- そういうビジネス系の書籍を読んだりしてもいいでしょうしね。
時間に厳しいチーム代表のねじ
フリーランスになれば遅刻はなくなる
- 柳澤
- 僕は、遅刻というか、時間をどう捉えるかというのは、メリハリの問題だとも思うんだよね。時間にルーズでも朝に弱くてもいいんだけど…いやよくないけど、強いて言えば「ここぞ」という時の会議にいればいいと思うんだよ。逆に、そこを遅刻する人間はまず信用できないし、仲間に加えるのも不安。心配なのは、ウチはその辺りも危うそうな人が多い気がするっていう…。
- ねじ
- でも、業界的な風潮も関係しているのかもしれませんよ。例えば、デザインや制作系のクリエイティブ系だと徹夜が美徳であり、それに付随する遅刻はむしろ働いている証でよいものだって感覚が、みんなのどこかにあるとか。前に誰かが電車でギリギリまで作業するからよく降りそびれそうになるって話していましたけど、あれもそんな行動の一つだと思うし。
- 柳澤
- そういえば、知人のコピーライターさんが独立した時、大先輩に「とにかく遅刻をするな。時間さえ守れば仕事は来るよ」と助言をもらったそうなんだよ。そう思うと、確かに時間の観念が他の業界とは多少違う部分はあるかもね。でも逆に言えば、時間を守るだけで評価されるっていう世界ってことでしょ。単純だけどすごく効果的なアピールじゃない?
- 三好
- そうですね、本当に。
- 柳澤
- あるいはとある別のフリーランスの人は、こんな風にもいってた。「遅刻は会社員だけに許されることだ」って言っていて、ああそうだなと。あまりにひどい人はフリーランスを一度経験してみるといいんだよ。遅刻したら二度と仕事が来ない、締切に遅れたら次は仕事がもらえない、そんなプレッシャーを経験したらわかることも多いんじゃないかなとわかるし。
- あるいは、組織の論理とフリーランスの論理は違っていて、組織で遅刻すると組織全体に弛緩して悪影響だけど、組織を出れば遅刻しても自分だけの影響ですむからね。
相手を不愉快にさせないための配慮が必要
- 三好
- なんだか今までの話聞いてると完全に遅刻キャラになってきてるので、一つだけ伝えておきたいことが…。僕は家が遠いこともあって朝は打ち合わせ先に直行することが多いんですが、それすらも全部言い訳だと思われていた節があるみたいで。それは違いますと。それだけは言わせてください。こんなに正直に伝えているのに!
- 柳澤
- いや〜そう言う人ほど怪しいんだよ……。例えば、直行する日の打ち合わせに向かう時間は普段の始業と同じ?
- 三好
- 打ち合わせ自体は10時とか11時とかが多いですね。
- 柳澤
- おいおい!だと、いつもより遅いじゃない!
- 三好
- でも一旦会社に寄ってからだと、8時頃に来て9時に会社を出るって形になっちゃいますし…。
- 柳澤
- はぁ。でもそれできたらそれならずいぶん自分に厳しい人だなって話にはなるよね。でも普段より遅いんじゃ、楽だから直行したのかと思われても仕方ないよ(笑)。
- 三好
- 先方に合わせると早くても10時になるんですよ。
- ねじ
- 三好さんの言うこともわかりますよ。これは三好さんだけの話でもないですしね。ただ、周囲の人には、ざっくりした時間設定だなって印象を与えてる、ってことなんじゃないですか。
- 三好
- 結局のところこの話。どこまでいっても、すみませんというしかないんですね。ほんとすみません……。
結局のところ何の教訓も得られないまま、インタビューは終了となりました。せっかくなので、以下、社内で遅刻を面白く言い訳する達人の三好拓朗の遅刻メール集をご覧ください。
From:三好拓朗【面白法人カヤック】
件名:【遅刻】三好
本文:
すみません。
探し物がとても見つけにくいものだったため10分ほど遅れます。
井上陽水さんが、このメールを見たら夢の中へ行ってしまうかもしれませんね。いったい何を探していたのでしょうか……。
From:三好拓朗【面白法人カヤック】
件名:【遅刻】三好
本文:
出がけにガラスのコップ割ってしまい片付けてたゆえに遅刻します。
ガラスのコップが割れるという被害者になると遅刻も許してしまいそうになりま、、いや、なりませんね……。
From:三好拓朗【面白法人カヤック】
件名:【遅刻】三好
本文:
家の前の踏切が15分あかず遅刻しそうです。まだあいておりません。もうしわけございません。
三好は奥さんと下北沢に住んでいるのですが、再開発の工事の関係でしょうか?
From:三好拓朗【面白法人カヤック】
件名:【遅刻】三好
本文:
踏切に引っかかっております。あき次第全力で向かいます。
というか、15分もあれば、回り込めたりしないのでしょうか?
From:三好拓朗【面白法人カヤック】
件名:【遅刻】三好
本文:
またもやまだ踏切が開いておらず、遅刻しそうです。もうしわけございません。
三好のために述べさせていただきますが、三好は、クライアントからの信頼がとても厚いディレクターなのです。これで遅刻をしなくなったら、さらに信頼が厚くなるはず。がんばれ!みーよ!