2023.08.28
カプセルトイ専門店「御成カプセル」店舗デザインとWebデザインのうらばなし
みなさん、歴史ある街並みの鎌倉の御成通りに、
カプセルトイショップがオープンしたのをご存知でしょうか?
カプセルトイショップ「御成カプセル」
こちらのショップ「御成カプセル」は面白法人カヤックが運営しています。もっと鎌倉の魅力を知ることができるようなカヤックオリジナルのガチャもあったり…
そんな特別なカプセルトイショップです!
今回、この「御成カプセル」の店舗デザインとWebサイトのデザインを担当した、アートディレクターの河邉とデザイナーの鈴木にインタビューしました。
アートディレクターの河邉(左)とデザイナーの鈴木(右)
店舗デザインとWebデザインを両立させた道のり
─ 普段はWebデザインの仕事が多いカヤックですが、店舗デザインはどうでしたか?
- 河邉
- そうですね、とても楽しく、やりがいのあるお仕事だったのですが、やはり店舗デザインは制約が多い点に苦労しました。
- 普段やっているWebサイトのデザインやブランディングの仕事とは違い、街の景観的な制約や、テナントの制約など、実現可能なトンマナにしなければいけないことがあとから分かることがあり、大変勉強になりました。
- たとえば、「店前に巨大なカプセル置きたいよね」っていう要望をやなさん(弊社社長)に言われまして。
- もともとお店のコンセプトから、ロゴデザインはカプセルを開ける瞬間のドキドキ感を、シンプルな図形で表現したものでした。ただ、ロゴを模した3Dの球体をこれをそのまま立体として置いてもカプセルとして分かりづらいよねということで、ロゴの解釈を拡大し、カラーリングやカプセルの扱いに自由度を設けました。カプセルの形や傾きで統一感を醸しつつ、色はカプセルトイとしてわかりやすい色合いに変更しています。
- 設計会社さんと相談しながら、台風で飛ばないよう着脱式にしようとか、カプセルを透明にしたいけどそれは無理だとか、じゃあカプセルを光らせたいとか、限られた予算と時間の兼ね合いの中でブランディングしながら、デザインルールを調整していきました。サイトTOPのロゴデザインでは、カプセルの中に鎌倉の魅力的な風景を詰め込みました。
夜にあかりが灯るカプセル
- 鈴木
- 私はWebデザインを担当したのですが、やっぱり色が難しかったです。
- 建物の外壁がピンクで、中は木の色で、そこから大きく離れるとWebと実際の店舗との印象が違ってきちゃうなぁと。なので、色はピンクを基調にしつつ、ロゴがかっこいい和風テイストだったので、あまりかわいくなりすぎないようにしようと考えました。
- 河邉
- けっこう壁の色の主張が強いからね。一緒に和カラーを見たりしたよね。
- あと、本当にちゃんと合わせるとしたら、カプセルの色はもっと理想があったのですが、鎌倉市の景観条例の関係で、彩度がここの数値のものまでしか使えないっていうのがあり…。
- なので、理想に一番近くて、見え方や印刷の仕方とかいろんなことを想定して、DICとか色見本をたくさん見て比べて、これだ!っていう色を設定しました。
カヤックがカプセルトイショップを運営する意味
─ カヤックが「御成カプセル」をオープンした経緯はなんだったのでしょう。
- 河邉
- 2021年頃、カプセルトイ市場がさらに広がった流れがあって、鎌倉にはカプセルトイショップがあまりないし、かつ人件費もあまりかからないねっていうので、やってみることになりました。
- 個人的にも、店舗デザインやBtoCのブランディングをやってみたかったので、ありがたいお話だと思って引き受けました。
- 地域の事業に力を入れているカヤックが運営する価値として、一般的なカプセルトイショップにとどまらず、鎌倉を売りとしたオリジナルな商品を展開していきました。
御成カプセル限定カプセル「御成御守」
- 河邉
- ゆくゆくはさらに、オリジナル商品を増やしていきたいと考えています。たとえば、再生プラスチックを使ったコンテンツでSDGsを意識したりだとか。
- 現在の店舗でも、空カプセルを店内の格子のスリットにはめ込めるという、“おみくじのあとに結ぶような仕掛け”を作ったり、試行錯誤しながら進めています。
空カプセルをゴミとして捨てずに、店内装飾として活用
─ “ガチャを回す、資源を回す、地域もぐるぐる回り出す。”「回す」をコンセプトにした御成カプセルならではのアイデアですね。
気になるお客さんの反応は…?
─ 実際のお客さんの反応はどんな感じでしょうか?
- 河邉
- 店舗に行ったお客さんがSNSに画像をあげてくれたり、「この商品まだありますか」と聞いてくれたり、 オリジナル商品が一瞬で売り切れちゃって生産が追いつかなかったりとかしていますね。 「御成御守」という、レーザーカッターで木を加工して作ってる商品がすぐ売り切れちゃって。かなりお客さんも来てくれていて、ありがたいことに売り上げとしては思ったよりずっといい感じです。
カヤックで「好きを仕事に」
─ これからもまだまだ商品が増えていくということで、順調なスタートですね。
- 河邉
- そうですね。ぜひぜひ、一緒にやりたいっていう社員さんには手を挙げていただいて。最近は一緒に商品案を出す会議に参加する人が増えています。 参加する上で、まだ大変なことの方が多い部分もあるかもしれませんが、言ってしまえば、自分が想像したプロダクトを作れる機会でもある。デザイナーが楽しみながら会社に貢献できる場所を作れたんじゃないかなと思っています。
- また、御成カプセルのプロジェクト自体が「自分の好きなことを仕事にできるぞ」っていう良い例かなとも。ただのガチャガチャファンのデザイナーが、自分たちでカプセルトイショップを作るという非常に良い体験ができました。
鎌倉を訪れた際には、ぜひ「御成カプセル」にも立ち寄ってみてくださいね。
御成カプセル
〒248-0012 神奈川県鎌倉市御成町8−1 鎌倉駅西口から徒歩1分
取材・筆:面白法人カヤック 意匠部 デザイナー かーぎ