2025.03.31
「新たな成長領域の開拓を」第20回株主総会レポート
カヤック第20回目の「定時株主総会」。
桜の開花も始まり、春の訪れを感じる3月27日。今年も日本最古の禅寺である鎌倉・建長寺にて、第20回「定時株主総会」を開催しました。株主の皆さまには会場へ71名、オンラインでも71名、計142名にご参加いただき、心より感謝申し上げます。
〜オフィスツアー・ブレストワークショップ〜
総会に先立ち、鎌倉オフィスの見学ツアーとブレストワークショップを実施し、約30名の株主の皆さまにご参加いただきました。

〜株主総会〜
会場を建長寺に移し、代表の柳澤より開会の挨拶を行いました。続いて、グループ戦略担当執行役員の佐藤より、第20期の事業報告を申し上げました。
通期売上高は167.2億円、営業利益は3.5億円と減収減益となりました。ハイパーカジュアルゲーム市場の成長鈍化の影響を受けつつも、カヤックでは前年比で緩やかな成長を維持。ただし、期待通りの成果には至らず、現在は新たな成長領域を模索しています。
ハイブリッドカジュアルゲームやIP領域への事業投資、M&Aの強化を進めていることを説明しました。

次に、各サービス区分を統括する事業ユニット長から報告を申し上げました。
面白プロデュースユニット 北川
売上は22.7億円で前年比0.5%減。6年目を迎えた「うんこミュージアム」はオーストラリア・メルボルン、北海道・札幌へ展開。今年はお台場の大幅リニューアル、名古屋・沖縄での新設を予定。JA全農のスキムミルク認知拡大と利用促進を目的とした「マッスル・ベーカリー」や、古谷乳業の「物語のあるヨーグルトシリーズ」も好評を博しました。
ゲームエンタメユニット 貝畑
売上は92.4億円で前年比12.5%減。ハイパーカジュアルゲーム6本をリリースし、累計10億DLを達成。また、4年連続DL日本企業1位を達成しました。コロコロコミックとの「ケツバトラー」メディアミックス、電子書籍サービス「ナンバーナイン」への出資及び業務提携によるウェブトゥーン展開、アニメ制作会社「アスラフィルム」と「ラゾ」のグループ化により、ゲーム・アニメ・漫画の制作体制を強化しました。
eスポーツユニット 吉田
売上は28.7億円で、前年比9.6%増。日本で唯一eスポーツで上場した「GLOE」、トーナメントプラットフォーム「Tonamel」、ゲーム×教育分野の「ゲムトレ」3事業を中心に、大会運営からマーケティング事業領域を拡大。サウジアラビアや中華圏など海外クライアント営業の強化、ライブ配信領域で高い技術力をもっている「配信技研」のグループ化を実現しました。
ちいき資本主義ユニット 中島
売上は9.8億円で前年比26.1%増。移住プラットフォーム「SMOUT」の成長、メガ・コミュニケーションズのグループ入り、Dear Okinawa,の売上貢献が大きな要因です。SMOUTの大幅リニューアルや、渋谷区の地域通貨「ハチペイ」「ハチポ」も渋谷区のふるさと納税額4億円のうち1/3以上となる成長、「地域おこし協力隊」広報活動も総務省より受託しました。鎌倉のまちづくりへの取り組みは「総務省ふるさとづくり大賞」で表彰いただきました。引き続き、各領域で地域資本主義を実行していきます。
その他事業部 藤川
売上は13億円で前年比11.3%増。SNSで247万人フォロワーとなった「プラコレ&ドレシー」、英治出版のグループ入りなどが寄与。「プラコレ」は認知拡大で広告事業も延び、全体を牽引。FC琉球マスコット「ジンベーニョ」もJリーグの全キャラクター内でフォロワー伸び率1位を達成。IP化による収益基盤作りに力を入れています。
投資事業部 事業部長 髙橋
2023年6月の設立以来、150件以上の引き合いがあり、7件の投資を実行。非常に有望な会社に投資を行い、彼らのバリューアップにも貢献しています。投資事業部設立以前に実行した投資も管理しており、その出資先の「ミライロ」は26億円で上場し、時価総額は95億円に達するなど、高いリターンを実現しました。引き続き、既存投資先のバリューアップ並びに成長可能性の高い企業への投資を継続していきます。

〜 おまけ株主総会 〜
恒例の「おまけ株主総会」。今年も取締役がひとりずつ「小噺」を披露しました。
社外取締役(監査等委員)の北川徹さんからは、カヤックの強みを活かすため、迅速な撤退判断の重要性を語りました。
3年前、東証の市場区別改定でプライム、スタンダード、グロースに分かれました。プライムは「世界基準で戦えるメジャーリーガーになれ」という市場。企業は買収したりされたりで、最近でも大手コンビニが買収の提案を受けました。スタンダードは日本国内の優秀な企業が集まる市場、そして当社がいるグロースは、自由度を高め「ユニークで新しいビジネスで成長を」という市場です。カヤックの各ユニットからプレゼンテーションをご覧になって、皆様も色々なことをやっていると感じられたと思いますし、私から見ても優秀な社員がいて「本当にいけるんじゃないか」と感じますが、課題として、失敗した時の諦めをもっと早くすべきです。去年もとある投資案件を撤退しましたが「2年前に決断できたのでは」と感じました。撤退基準をきちんと設けて早くすることで、限られたリソースを新しいアイデアに振り向け、上手く回していけます。私もこの課題に注力し、また1年間頑張りたいと思います。
社外取締役の森川徹治さんは、経営の本質を言語化するための書籍執筆を進めていることを明かしました。
ライフワークとして経営を突き詰める中「言語化したい」と思っていましたが、カヤックグループの中に英治出版が入ったので書き始めました。内容は「国際競争力を日本企業が失い続けていることに対しどうするのか」という問題です。日本人的な発想だと、お金よりも社会に役立ちたいという思いがあると思いますが、それだけだと業績に結びついていきません。東証のPBRという手法では世界標準は5倍~10倍を目指しています。10倍、30倍の会社を早く真剣に作っていかないとジリ貧になります。日本企業が世界でリスペクトされていたおかげで、海外で「日本いいね」と言われてきた。これを途切れさせるのはまずいんです。時価総額を上げるには企業価値で、価値の作り方にはメカニズムがあります。それを理解して作り込む。オリンピックに出ているので勝たなきゃだめなんです。
社会に役立つことをしながら企業価値と株価を上げる。これが今、社会的にすごく重要だと思います。
最後に、今回の辞任される社外取締役(監査等委員)髙岡美緒さんからは、カヤックの独自性と意思決定の柔軟さを振り返り、
今後の成長への期待をお話しいただきました。
唯一無二の会社に関われたことを心から誇りに思います。資金調達から始まり4年間、気付けば毎月のように出資案件が続き、意思決定のスピードと柔軟さに何度もいい意味で驚かされました。ファイナンスやM&Aのプロとして、自分の中の常識がここでは非常識だったりと、面白さと経営合理性、株主との向き合い方のバランスに悩みつつ、中長期的な株主価値をどう高めるか真剣に向き合ってきました。経営陣の皆さんが、対立する意見にも素直に耳を傾けてくれたことが印象的です。異質なものを受け入れる懐の深さがカヤックの強みです。4年間、経営の仕組みや意思決定のルール、失敗を小さくするための策を一緒に考えたりと、多少なりとも貢献できたと思っています。今カヤックは方向性が定まりつつあり、次のフェーズに進もうとしています。そこに相応しいのは、より深くクリエイティブを理解し現場と経営をつなげられる方。カヤックには自己改革力があり、知の探索において日本の中でも非常にユニークで価値のある存在です。引き続き、社会へワクワクを届けていただきたいと思います。

「おまけ株主総会」後は、建長寺そばのカフェ「点心庵」でオフ会を開催。
株主のみなさまと面白法人カヤック社員との交流が行われました。
総会やオフ会などでいただいたご意見をしっかりと受け止め、面白法人グループ一同、これからも世の中を「面白くする」ための新しい挑戦を積み重ねていきます。
今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
改めまして、ご参加いただいた皆さま、心より感謝申し上げます。
(取材・文 梶 陽子)