「CEDEC2024」で発表!ハイパーカジュアルゲーム10億ダウンロードの軌跡 | 面白法人カヤック

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2024.09.10

「CEDEC2024」で発表!ハイパーカジュアルゲーム10億ダウンロードの軌跡

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8月21日、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2024」でゲーム事業部の佐藤宗が
「10億DLに至る道。個性を活かしたハイパーカジュアルゲーム開発」についてお話しさせていただきました!

カヤックのハイパーカジュアルゲームは、今年の2月に全世界で累計10億ダウンロードを達成しました!
2019年に有志が集まり、会社に内緒でつくり始めたハイパーカジュルゲームが、今ではカヤックの主軸事業となっています。

この数年で急成長したカヤックのハイパーカジュアルゲームチーム。これを率いてきた、佐藤が理論や感覚を他のメンバーへ伝授して「チームで勝つ」に至るまでの過程について語った「CEDEC2024」の内容をレポートします!

佐藤宗 面白法人カヤックゲーム事業部・ディレクター

ハイパーカジュアルゲームって何?

まずは、ハイパーカジュアルゲームについて。
ひとことで言うと「広告動画を用いた全世界向けのゲーム開発&ビジネス」ですが、3つの特徴があるといいます。

ハイパーカジュアルゲーム3つの特徴

1. 本格な開発に入る前に広告動画でゲームのニーズを確かめる

2. 広告を用いた収益化

3. データドリブンな開発

1つ目は、本格的な開発の前に、広告を利用してニーズのあるゲームか先に確かめられるということ。実はほとんどのハイパーカジュアルゲームは、本開発に移れないんです。カヤックでもここは開発したタイトルのうち約3%くらいしか本開発に進めません。

ゲームのポテンシャルを事前に計測できるのが、ハイパーカジュアルゲームの特徴になっています。

2つ目は、収益化について。ハイパーカジュアルゲームは無料で遊べるゲームなので、収益の主軸は、広告収入になります。そして、プレイヤーの流入にも広告を用います。

そのフローを簡単に説明したのがこちら。

流入のための広告費よりも広告収入が多いと黒字になるのですが、例えば、全世界を対象に一人あたり40円を払って、42円稼ぐというくらい、すごーく薄利多売な商売なんです。
そのため、全世界のユーザーを対象にすることで、成り立つビジネスなんですね。

3つ目は、数値でゲームを評価するデータドリブンな開発。従来のゲーム開発だと、ディレクターの感性やセンス、経験からゲームの評価と判断が下されますが、ハイパーカジュアルゲームだと数値で全て判断します。それぞれの開発工程においてデータによる評価と判断が下される、とても工業化されたゲーム開発 & ビジネスなんです。

佐藤は、これを「Web & マーケティングの手法とゲーム開発をくっつけたモノ」と表現していました。

ハイパーカジュアルゲームを「つくる人を増やす」
次に、2020年には10人前後だったハイパーカジュアルゲームチームを、現在の30人前後まで拡大する際に、どの点に気をつけてハイパーカジュアルゲームづくりを伝授していったのか?ということについて話しました。

前回2020年にCEDECに登壇した際にも、「良いハイパーカジュアルゲームの条件」をこのように定義しています。

基本的な考えは今も同じですが、さらにハイパーカジュアルチームには以下の3点を重視してもらっているといいます。

・早くつくれるようになる

・「分かりやすい」を鍛える

・「ゲームが面白いか」はプレイヤーに問う

「早くつくれるようになる」というのは、「数字でゲームを判断されるのは、案外キツイ」というゲームクリエイターならではの気持ちを、早く、沢山つくれるようになることで、一つ一つの成否が気にしなくなるというもの。さらに、ユーザーのニーズを掴めるようになることにも繋がります。

カヤックでは、平日の5日間にゲームとそのインストール用の動画広告をつくり、土日から市場テストを開始するというスケジュールを組んでいます。

次に、コンテンツが溢れている現代では、「分かりやすさ」は必須要素で、ハイパーカジュアルゲームは「『分かりやすさ」を考え続けることが必然となる」だと佐藤は言います。
そのために、画面内での情報の量を減らし、分かりやすいモチーフを使う、ゲームに詳しくない人に遊んでもらうなど、工夫をしているそうです。
実際にカヤック社内のSlackで、ゲーム事業以外の部署へ「このゲームどんなゲームだと思いますか?」というような質問が飛び交うことがあります。

一方で、「このゲームが面白いか」は一貫して自分たちでは判断しないようにしているそうです。
カヤックのゲームクリエイターは全員が「面白いゲームをつくろう」といった意気込みで取り組んでいますが、面白さは人それぞれ。「早くつくってすぐに遊んでもらえる環境」を活かして数値=プレイヤーの反応で開発・ビジネスが決まるハイパーカジュアルゲームでは、この「面白さ」もプレイヤーに問うことにしているそうです。

そのため、ゲームのつくり方も「分かりやすさ」は重視しながらも、どういうアプローチでつくるか、どういうものをつくるかは、個々のゲームクリエイターにお任せしています。
これは、多様性を面白いと定義するカヤックらしい手法だなと思いました。

今後の展望についても語りました。

市場としては純粋なハイパーカジュアルゲームは減少傾向にあり、今後は、リワード広告や課金といった「能動的にゲームへ投資する」従来広告とのハイブリッド型が増えると言われています。
一方で、「手軽にゲームを楽しむ」というニーズは今後も存在し続けると考えており、最近はショート動画サービス/アプリにカジュアルゲームを導入しているケースが見受けられます。スナッカブルなコンテンツを主軸としたプラットフォームにカジュアルゲームが組み込まれることが増える、また生成AIを活用した広告・ゲームづくりが増加していく、プレイヤーがつくった動画広告で収益をあげる未来が訪れるのでは?と分析していました。

ハイパーカジュアルゲームの良い面とそうではない面も含めてお話させていただいたCEDEC2024での講演。
最後に、「『データ中心』『面白いかどうかを自分達で判断しない』『工業的なゲーム開発』と言った部分からからドライなものづくりをしていると思う方もいるかもしれませんが、我々は日本の他のゲーム開発者さんと同じぐらいゲームを遊ぶのが好きで、面白いゲームをつくることに情熱を燃やしています。ハイパーカジュアルゲームは『世界中の人を楽しませる』ところに壮大なロマンがあります。世界中の人に楽しんでもらえるようなゲームをつくり続けられるように精進していきたいと思います」と締めくくっていました。

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「面白くゲームをつくる」をモットーに、世界へ発信するハイパーカジュアルゲームチームは、まさに「面白がってはたらこう」という経営理念「面白法人」の精神を体現しています!
これからも、ゲームを通じて「世界をもっと面白く」できるよう、一層努力していきますのでご期待ください。

(文・梶 陽子)

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