万能エンジニア 衣袋宏輝がカヤックを辞めて独立した理由 | 面白法人カヤック

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2016.09.07

#退職者インタビュー No.18
万能エンジニア 衣袋宏輝がカヤックを辞めて独立した理由

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カヤックを卒業して2年のエンジニア衣袋宏輝さんは、現在dot by dot inc.に所属しながらフリーランスエンジニアとして幅広い分野で活躍されています。新卒入社から独立を経た衣袋さんに、カヤック時代のことや現在の状況を伺いました。

「エンジニア」を名乗るクリエイターとして

― 今の肩書きは…エンジニアですか?

衣袋
そうですね、「エンジニア」と名乗っています。プログラム中心ではあるけど、Webにハードウェア制作、展示、プロダクトといろいろありすぎて説明がつかなくて(笑)。

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― dot by dot所属だそうですが、社員ではないんですか。

衣袋
社員ではないです。仕事を一緒にしたりマネジメントをしてもらったりする、映像業界の映像クリエイターに近い立ち位置です。

― クリエイター個人としてのアピールがしやすい関わり方だと。

衣袋
そうですね。IT業界だと通常、エンジニアの制作物は会社に帰属することが多いんですが、今のような関わり方は作品に自分の名前を出せたり、ポートフォリオにも載せられたりできます。

― 今はどんなお仕事をされているんですか?

衣袋
「OZON」に参加されていたアルプス電気さんの依頼で、「HAPTIC(R)Trigger」というVR用触覚再現デバイスのアプリケーション開発をしています。
あとSXSWに出した「Lyric speaker」が商品化されました。高価ですが、凄いクリエイター達が参加して、いい感じのモーションも制作中なので、うまくいくといいなと思いつつやってます。

自分の基準で面白い仕事を選びたい

― そもそも、カヤックを辞められた理由はなんだったのですか?

衣袋
新卒で入って3年ほど働いた時に将来のことを考えたんです。そこで、世の中にたくさん存在するすごいエンジニアや会社と同じフィールドに立って戦いたい、また会社も個人も予算も関係なく、純粋に自らの優先順位によって制作や投資をしたい、と思ったからですね。

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― 不安はありませんでしたか。

衣袋
ええ、半年はやっていけるだけの貯金をしてから辞めたので。とにかく、フリーランスでやる際に貯金なしで辞める怖さは皆に伝えたいですね。エンジニアは企画立案・制作から入金まで半年ほど空く場合も多いから、貯金がないと資金稼ぎの仕事から抜けられなってしまう。面白い仕事をやるためにも蓄えや余裕は必須なんですよ。

― そういう仕事に出会えるかどうかという不安は?

衣袋
半年間は猶予があると思っていたから、それはなかったです。カヤックの採用活動の一環でもある「退職者がたった一人で行う会社説明会」をしたのも、業界内に情報が広がって結果的にいい宣伝になってくれた気がします。実際、割とすぐ16Labの木島晃さんに指輪型デバイス「OZON」のお仕事で声をかけていただけたので。

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― そんな経緯を経て今の状況になったと。

衣袋
はい。独立して今まで話す機会もなかった方から「フリーなら一緒にやる?」と声をかけていただくことも増えました。憧れの方の講演会に行って自分からお声がけしたり、控えめだった気持ちも変化してきた気がします。

カヤックで身につけた仕事に対するスタンス

― カヤックで身についたと思うことは何ですか?

衣袋
技術に囚われない仕事をするスタンスです。僕はFlashエンジニアとして入社したのに、入ってすぐにiOSでFlashのサポートがなくなったため、同じ部の先輩とUnityの勉強を始めたんですが本当に大変で。

― あの混乱した時代ですね。

衣袋
でもそこで培われた、自分が得意とする技術がいつなくなるかわからない、初めての技術にもビビらず取り組もうって思考は今すごく役立ってます。辞めた後も、安室奈美恵さんのサイトをつくる時にHTMLやJavaScriptをやり直しましたし。

― では、思い出深い案件は?

衣袋:「VOICE DRIVER」かな。初めてカンヌを受賞して肩の荷が下りた案件だったんです。評価されたことで新卒によくあるような「広告業界で賞を獲りたい」的な尖りもなくなり、純粋に面白いものをつくろうと考えられるようになった気がします。

― それが「鼻焼肉」につながったと。

衣袋
そうそう。ハッカソンでつくった個人プロジェクトを頼み込んで会社仕事にした、広告でも自社でもない謎案件(笑)。だからこれもすごく印象深いですね。プロダクト自体はあまり売れなかったですが。

― 在職中は仕事との対峙方法を学んだ感じでしょうか。

衣袋
ええ。カヤックには楽しい仕事しかないのがいいところですよ。お金のためだけの案件もあまりないし。この楽しいことをやる、お金優先の案件はなるべくやらないって考え方は今も僕の基本です。

― 技術的な面では?

衣袋
ゲームも受託も自社も一通り経験したので柔軟性がついたし、FlashやopenFrameworks、Unityなど多くの技術を扱うことで幅広さを持てた気がします。技術に囚われずに面白さで判断できるかどうかって部分に繋がるので。でもカヤックのエンジニアは、他の会社と比較してもマルチな人が多い気がします。

― なるほど。

衣袋
あと企画面ではブレスト重視ですよね。食事感覚でブレストする会社なんて他にないですよ。僕はブレストしたいほうなので機会が減って寂しいですが…。

新しい世界で楽しい波に乗る

― 今後はエンジニアとしてどう働いていきたいですか。

衣袋
町工場でプロダクトをつくるのが楽しいので、エンジニアの中でもITからマシン寄りに進む気がしています。大型旋盤のハックはそうそうできないけど、工場では『Make:』で得た程度の最新技術も大いに役立ちます。ITのスピード感を活かせば闘える場もありそうだし、この波に乗らない訳にはいかないなと。

― 新卒入社から独立を経た先輩としてメッセージをお願いします。

衣袋
エンジニアは部署問わずあらゆる技術を勉強したほうが絶対いいです。例えば今使っている技術が5年後ある保証もないし、より新しい技術が出た時にその残り香で細々とやるような人にはならないほうが、楽しくやれると思いますよ。

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カヤック時代からつねに最新技術に挑戦し、独自の発想で制作を続けてきた衣袋さん。今後はクリエイターとしてのエンジニアの位置も確立していかれることでしょう。今後の活躍にも目が離せません。
衣袋さんポートフォリオサイトhttp://koki-ibukuro.tumblr.com/


カヤックでは、退職者インタビューを時々公開しています。退職に対する考え方は、コチラをお読みください。

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