2021.10.12
#面白法人カヤック社長日記 No.93社長日記復刻リメイク版その3:「ありえないビジネス6選」を書き始めて思考したこと。
本来ビジネスになり得ないものを
考えてみればカヤックという会社は、本来ビジネスになり得ないことをビジネスにしたいというチャレンジを何度も⾏ってきました。
⾯⽩法⼈の「⾯⽩さ」の定義は、オリジナリティがあること、個性があることです。他者がやっていないようなことをやってビジネスを構築できるのであれば、それは本当にエキサイティングなことです。また、それは一人ひとりの個性が輝く社会にもつながると思っています。⼈には必ず何かしらの才能がある。そんな可能性を⽰せれば、多くの⼈を勇気づけることもあるのではないでしょうか。
そこで、今回はよくまぁ、これをビジネスにしているな・・と思われるサービスを独断で紹介したいと思います。
よくまぁこれをビジネスにしているよなぁと思うサービス
その1 フリパン
広告⼊りの男性ボクサーパンツを毎⽉無料で送ってくれるサービスです。どうやらまだはじまったばかりのようですが、登録会員が8万⼈とのこと。
ビジネスモデルを考える時に広告モデルを選ぶことは多いですし、今まではありえない場所を広告にしてビジネスをするということはよくあるパターンだとは思います。が、サイトにも「実は⾃分のパンツを1⽇平均8回以上⽬にしております」と 書いてあるように、まさか⾃分のパンツに⾃分のためだけ(とは限りませんが・・)の広告が⼊るとは、盲点でした。
その2 Glove Love
⽚⽅なくした⼿袋の、⽚⽅同⼠を集めて新たに1組にした⼿袋の販売サービスで す。⽚⽅の⼿袋は美術館やシアター、チャリティ団体に集める箱を置いたり、個⼈の賛同者からの送付を募って集めるようです。販売価格は500円、その売り上げも チャリティに使われているようなのでビジネスとして成り⽴っているかは微妙です (その意識すらないのかも)が、サイトをみるとバラバラの⼿袋をつけたにっこりした⼈たちが掲載されています。
なんかほっこりしますね。
その3 SantaMail
アラスカあたりの北極に近いところの住所を⼊⼿してサンタのふりをして⼦供に⼿紙を10ドルで送るというサービス。なるほど。⼦供に本気でサンタさんを信じてもらうためにここまでディテールにこだわる⼤⼈は確かにいそうです。
その4 The Pet Rock
箱に⽯をいれ、それをペットとして売る。それだけです。このサイトを⾒ると何が魅⼒的なんだかわかりませんが、Facebookのサイトを⾒ると、なるほど意外にかわいいのがわかります。でこれがほんとにビジネスになるのか? ということなのですがなんと最初の6カ⽉で$15M稼いだという報道も(12億円!)。
これがほんとだとすると、すごいことです。漫画家つげ義春先⽣の作品に、元⼿なしで⾦を得ようとして、河原に無限に転がっている⽯ころが⾦にならないものかと夢⾒ている貧乏な男を描いた「⽯を売る」という作品がありますが、ほんとにそれが実現してしまうんだなぁ・・・
と、まだまだ探せばでてきそうです。ネットでリサーチしているとほんとに世の中には、あの⼿この⼿でビジネスを考える⼈がいるもんだなぁ、と驚かされます。
さて、6選とタイトルに書いたのは、しょうもないニュースばかり集めたまとめ系サイトがバズっているのを真似しようと思ったからです。あと2つになって、ここまで書いてきて思いました。探せば、まだまだ⾯⽩いサービスはあるでしょうが、そういったサービスをここで紹介し続けるべきかどうか。
なんなら、後6個ぐらい⾜して、この回を「ありえないビジネス10選」というような記事にすれば、人気の記事をねらえそうです。まとめ系は⼈気記事となりやすいですからね。
そこで、ふと思ったのですが・・・逆にそういうまとめ系サイトについて考えてみたくなりました。
まとめ系サイトについて考えてみよう
〜以下省略〜
(文中の商品・サービス名は2012年執筆時時点のものです)
――
2021年の柳澤からの解説:
今回は、前回と同じ趣旨で、過去の社長日記のリメイク版の第3弾です。合計第6弾まである予定です。(*注記)
この記事を書いたのが今から9年前。この社長日記からわかるのは、とにかくカヤックは一貫してビジネスになり得ないものにチャレンジしてしつこくやって、ビジネスにしていく性癖があるということです。2018年のうんこミュージアムしかり。それが垣間見える記事です。
そうして、もうひとつわかることは、これは僕個人のやはり癖ですが、書いているうちに途中から違うテーマに話が変わっていくということです。
この社長日記でも、途中まで6選をめざしていたのに、6つ選ぶこともなく、4つ選んだ時点でテーマが変わって、まとめサイトというものの考察に変わっています。まとめサイトの考察の部分は我ながらちっとも面白くなかったので、このリメイク版では割愛しますが、この癖が10年経って治ったことをお伝えします。おそらくここ最近の社長日記はちゃんと1タイトルにつきひとつのテーマに絞っているのではないでしょうか。話があっちこっち飛ぶことは、まあまあ少なくなっている。これは僕自身の著者としての成長と言えるのではないかと、この記事を読んで自画自賛した次第です。
それが嬉しかったので、思わず取り上げてしまいました。
*注記:
ところで、この社長日記ですが、2015年からカヤックサイトで連載を始め、月に最低1回という形で続けています。実はそれ以前は、日経ビジネスオンラインや日経PCオンラインなどの媒体でなんと2006年から続けておりました。つまり、足掛け15年も社長日記を続けていることになります。しかも、今でこそ月1回から2回ペースですが、日経に連載していた頃の僕は毎週書いていました。8年間一度も休むことなく。よくできたなと思います。
そして、その過去8年分の記事は、以前までアーカイブがあり残されていたのですが、昨年、日経BPさんと日本経済新聞出版社さんの経営統合に伴って、日経さんのサイトからは見られなくなってしまいました。
古い記事は、自分の成長の変遷を見るには良いものの、恥ずかしい内容のものばかりなので、これはこれで好都合なのですが、日経BPさんのご厚意で、過去のアーカイブをファイルでいただきました。
そこで、せっかくなので、その中からいくつかを多少リメイクして解説付きで、お出ししたいと思います。セレクトしたのは合計6本。これから6回にわたってリメイク版を紹介して行きたいと思います。
(原文は日経ビジネスオンライン2012年10月17日掲載。日経BPの了承を得て掲載しています)
===
note「励ましのサイエンス」はこちらから
このブログが書籍になりました! 特別対談「うんこの未来」のおまけつき。
カヤック代表・柳澤がホストの、まちづくりの先駆者を毎月ゲストに迎えるオンラインサロン会員募集中。