2017.01.26
#みんなの理念解釈 No.5社長になったつもりで経営理念について今一度振り返ってみた
経営理念を解釈する、その前に
技術部の川添です。
カヤックの経営理念、「つくる人を増やす」。入社してちょうど5年が経つ私にとっては、既に普遍的な言葉となっています。本連載のテーマは「みんなの理念解釈」ですが、この経営理念を「解釈する」前に、今一度なぜ経営理念が「つくる人を増やす」なのか、を考えてみます。
代表の柳澤が書いた経営理念への思いは経営理念のページを読んでいただくとして、以下は私が「どうしてこうなってるのか」を考えながら紐解いていこうと思い、記したものです。
社内的な視点で
経営理念は経営者が考えた会社の方向性を形作る理念。経営者はもちろん会社が長く続くことを願っていますから、会社が長く続いても色あせない、もしくは長く続くような理念を考えます。そして、会社が長く続くには自分たちが何をすべきかということを考えた結果を、この経営理念に込めているのではないかと思います。
カヤックはクリエイターが資本の会社です。各クリエイターが世の中へつくったものをアウトプットし続けることが会社の価値に直結します。カヤックの生存戦略は、社内にクリエイターを増やすことで、世の中にアウトプットする価値を増やす、ということだと言えます。
社会的な視点で
現代はインターネットの発達により「有史以来一番クリエイティブな時代」といえるのではないでしょうか。制作フローのデジタル化により、テレビや雑誌、本や新聞などのマスメディアで見られるクリエイティブの質は全体的に向上していると思います。また、インターネット上のYouTube、ニコニコ動画やPixivといったサイトで個人が発信するコンテンツのバラエティは数十年前からするとまったく予想できないくらい豊かになっています。
このような時代にカヤックができることは何か…と考えていくと、インターネット上や、それに隣接した場での創作とそれらを楽しむ場の提供なのかなと思っています。
近年カヤックが手がけたサービスでいえば、利用者みんながそれぞれオリジナルのサンリオ風アバターをつくることができるちゃんりおメーカーや、スマホゲームに特化したコミュニティサービスのLobiなどがそれにあたります。これらのサービスのユーザーはオリジナルのグラフィックやゲームの攻略情報などをつくって発信することができます。
これらのサービスは「つくる人を増やす」の理念のもとにできたサービスです。カヤックは昔からこのようなユーザがなにかをつくることができるサービスを得意としており、なにかをつくる事ができる場には人が集まりやすいということを直感的に理解しています。人が集まる場所には面白さが生まれますので、面白法人が「つくる人を増やす」というのは理にかなっています。
つくる人を増やす、私の解釈
さて、ここまででなぜ経営理念を「つくる人を増やす」にしたんだろうか…という点についてはなんとなく合点がいきました。社長気分はこの辺にしておいて、実際に私がこの経営理念を解釈して行動している点を紹介します。
採用に応募してくれた人をつくる人に変える
私は技術部のリーダーなので、採用時の面接官も担当しています。面接のスタイルは人それぞれ多種多様ですが、私が面接で心がけているのは主に「相手が答えてくれる情報以上に自分や会社の情報を出していく」「相手の面白い所を引き出してそこにカヤックが提供できる価値を伝えていく」といったことです。
エンジニアの採用面接はとにもかくにもスキルを重視しがちです。私も価値のあるスキルを持っていてもカヤックが必要とするスキルセットとギャップがあるケースでどうしようかな…となることがあります。そういうケースにおいて、そこをいかに乗り越えて入ってきてもらうかという点で面接を進めるようにしています。
私もWeb業界ではないところからカヤックに入ってきたため、スキルセットにギャップのあった人間でした。自分は楽天的なのでギャップについてあまり気にしてませんでしたが、面接官側に回るとそうでない人に出会うこともあります。そういうときは、カヤックの情報をどんどん出して一緒に考えていくというスタイルで面接しています。
効率を追い求めるのであれば、スキルにギャップのある人材は敬遠しがちです。しかし、面白法人であり続けるには「クリエイターのバラエティを増やすこと」、それが大事なことだと考えています。いかにWebではない業界からのエンジニアに入社したいと思ってもらうか、これがまさに「つくる人を増やす」ということなのではないかと考えています。
採用に対する考え方は、以前転職者向けインタビューでも話題にしていますので、こちらもあわせてご覧ください。
自分もつくる人であり続ける
技術部のリーダーを任されて結構経ちますが、ひとつ心がけていることがあります。それはリーダー的な管理業務もちゃんとやるが、それと同じくらいエンジニア業務をこなす、ということです。
カヤックの管理業務は型が決まっていないので、実はいろいろ試してみたりできる、隠れたクリエイティブ業務なのです。いいことを思いついたら周りの人とブレストしながら新しいやり方に取り組んでいけるし、ムダだと思ったら止めてよいので、リーダー業務も楽しくやっています。
あとは管理とエンジニアリングのバランスですが、自分ははっきり「リーダー的業務もエンジニア業務もやる」「どっちも同じくらいやりたいので、リーダー業務は最大でも50%を越えないように自分のリソースを配分する」と決めて取り組んでいます。
複数の業務をやるようになると、必然的にそれぞれの業務はベストエフォートでこなします、ということになります。この点を明確にして周りにちゃんと伝えているので、よくある「エラくなって管理しかできなくなっちゃうおじさん」にならずに済んでいます。
「つくる人を増やす」というのは言い換えれば、つくる人を減らさないようにすることでもあります。それを体現すべく、自分がつくる人であり続けるようにするというのは自分の立場ならではの心がけかなーと思っています。