ビジネス書大賞2019の審査員をしたので そのうち3冊を紹介します。 | 面白法人カヤック

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2019.05.23

#面白法人カヤック社長日記 No.56
ビジネス書大賞2019の審査員をしたので そのうち3冊を紹介します。

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昨年に引き続き今年も、ビジネス書大賞の審査員をさせていただきました。
前回の記事にも書きましたが、審査員をすると、その年に話題になった本をまとめて読む機会をいただけるので効率的なのが良いところです。
では早速、僕が選んだ3冊の本を紹介します。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

2019年のビジネス書大賞の大賞をとった本です。僕も審査員としてこの本には高い点数をつけました。AIの本は巷にいっぱい出ていますが、人に勧めたくなる本の1冊です。この本を勧めたい理由は、1つ目はAIが世の中に今後どんどん浸透していく時代において、人間に必要とされる能力が「読解力である」と言い切っている点です。そして、2つ目はその読解力において、現状の学生のレベルではまずいという未来への警告を発しているという点です。

そして、その結果、読み終わった後になんらかの行動変容を具体的にもたらしやすくなっています。子どものいる親は教育方針が変わるのではないでしょうか。

前半部分のAIの説明は、なるべくわかりやすく書いてくれたとは思うのですが、それでもやはりテーマ的に難しさは残ります。ただ、著者がAIを自ら研究して来た人であるからこそ、AIのできない領域を断定することにも説得力があります。できないことがわかっているからこそ、今後人間が磨くべき能力は何なのか? という後半部分につながってきます。

そして後半部分では、人間に今後必要とされる能力は「ズバリ読解力だ」ということを書き、その読解力が学生の間で下がっているという現状を警告する内容になっています。特にすごいのは、学生の読解力について独自にリサーチしている点です。

ぜひこの本を読んで、どのぐらい自分の読解力があるかを試してみたら良いと思います。

実際問題として、AIがどこまで発展して、今後どうなるかなんていうことは、普通に生活していればなかなかわからないですし、いろいろ不安を煽られても「じゃぁ実際に自分たちはどうすればいいのさ」という解が今までなかった中で、「読解力を磨こう」という具体的な一歩を指し示してくれたのではないかと思います。

ティール組織― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

組織づくりに興味がある人の間で昨年話題になった本です。どちらかというと経営者向けで、かつ組織論に興味がある人であれば面白く読めますが、そうでない場合、正直いうと1冊丸々読み切れる人はそれほど多くないかもしれません。それゆえ経営者賞ということになりました。個人的にも非常に興味のあるテーマなので、この本の要約と解説を以前、社長日記で書いたぐらいです。

よろしければこちらもご一読ください。わかりやすく書いてます。

この本が世の中に与えたインパクトは2つ。1つ目は、組織にも進化系があるということを世界が自覚したこと。実際は、進化といっても一方通行ではなく、事業に合った組織形態があるということや、同じ組織でも状況に応じて組織の形態は変わると本には書かれていますが、ティール組織が進化した最新形態の組織であるかのようにイメージできます。

また、その最新といってよい組織を「ティール組織」と名づけたこと。言葉は、やはり世界をつくります。「ティール組織」と命名したことによって、組織というものについてのより具体的なイメージが形になりました。僕の周りでも「ティール組織をつくりたいんです!」という起業家が増えました。これまでのように、必ずしもヒエラルキーによって運営されない組織を、こうした形で言語化したことだけでも、大きな功績のある本ではないかと思います。

ビジネスフレームワーク図鑑 すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70

今回の審査では入賞しなかった本です。実際、選考会でも、ほかの本の方が話題に上っていた印象があります。確かに、こういった図解式のまとめ本的なものは、今回のような賞だと、どうしても不利になりがちです。これは致し方ないところ。ただ、それでも、個人的には推薦したい本です。

というのも、この本はビジネスにおけるあらゆる工程を体系化し、それぞれに使えるフレームワーク(ビジネスにおける型みたいなもの)を整理して紹介しているという意味では、よくできていると思いました。ビジネスというものを俯瞰し、自分の頭の中を再整理するのに役立ちます。実は、意外とここまで網羅されたものはあまりないのではないかと思いました。

それぞれの項目に書いてあるフレームワークのひとつひとつを極めようとすると、この情報では、おそらく足りません。それぞれの項目ごとに掘り下げた本がたくさん出ていると思いますし、フレームワークを日常的に使っているコンサルタントのような職業の人にはきっと物足りないと思います。

ですが、この本はじっくり読み込むというよりは、ビジネスの全体像を俯瞰してみるために使うというのが良いのだと思っています。

僕自身は、ブレインストーミングというフレームワーク(ブレストもフレームワークのひとつだと捉えられることにハッとしました)が得意ですが、それがビジネスの全体工程の中のどこに位置するのかを俯瞰的に見ることができました。

そして、改めて気づいたことは、実はどれかひとつのフレームワークを極めるだけでも、ビジネスパーソンとしては相当なところまで行くのではないかということです。

スポーツにおいても、よくひとつの技や型を極めるだけでも、相当なところまで行くという話があると思います。あんなイメージです。

であれば、どのフレームワークを自分は極めるのだろうか? それを俯瞰して見極めるために、パラパラめくりながら見てみるのが良いと思います。

以上3冊ご紹介申し上げます。

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