カジノでの勝負哲学に関する考察 | 面白法人カヤック

Corporate

2017.07.18

#面白法人カヤック社長日記 No.29
カジノでの勝負哲学に関する考察

Corporate

VR

カヤックの支社、その名も“ヨコハマ展望台”オフィスがある横浜では、今年横浜市長選があります。

市長選の争点のひとつとして、横浜市へのカジノを含むIR誘致があるようです。そんなわけで今回は、カジノから連想したテーマでブログを書いてみます。

まず、こういったカジノに代表されるギャンブルなどができる娯楽施設には、メリットもデメリットもありうるので、賛成する人も反対する人もどちらの言い分も正しい部分があると思います。もし日本にカジノができるとしたら、ギャンブルの持つ負の部分をできるだけ減らすように取り組む一方で、正の部分については、単なる娯楽という意味や経済的な価値にとどまらない側面を伸ばしていったらいいのではないかと思っています。

ちなみに、僕が考えるギャンブルの正の側面で伸ばしたいと考える部分は「勝負哲学」です。ギャンブルを通じて、勝負の機微を学び、いかに人生に有用に生かしていくのか。そういったものを学ぶ道場があったら面白いなと思うのです。

ということで、ギャンブルにおける「勝負哲学」を通じて、起業家に必要な考え方を学んだ事例をひとつご紹介します。

ギャンブルでは、その人の勝負スタイルが出るといわれています。では、大勝する人と、そこそこの勝ちで終わる人の違いは何でしょうか。それは、勝つ波がきた時にとことん突っ込める人と、そうでない人の違いだといわれています。そこそこ勝った時点で、もうこれでいいやと手仕舞いしてしまう。負ける時は結構負けるのに、勝つ時にはそんなに勝てない、これが実は大半の人だと言われています。

でも大勝ちする人は、通常の人が終えるところで、さらに突っ込む。どういうわけかそういう神経の持ち主です。横で勝負を見ていると「まだいくのか!」とうなってしまうような勝負をします。

つまり大勝ちする人というのは、先天的に図太い神経の持ち主だといえるかもしれません。ただ、先天的なものということは、肉体的な特徴であるといえます。肉体も訓練次第で体質改善できるように、後天的に身につけられる図太さもあるはずです。それはどうすればよいのか? この事象について、もう少し深く考えてみたいと思います。

後天的に図太い神経を養い、勝負で大勝ちするためには、ずばり、ゴールイメージを持てるかどうかが重要だと思います。

たとえば今、手持ちのコインを確率2分の1の勝負に全額賭けて倍にすることを、5回連続して繰り返すというゴールイメージを持ったとします。

そうすると1からスタートして、1→2→4→8→16→32、実に32倍にまで膨れ上がります。まさに大勝の状態ですが、ゴールイメージを持たないままにチャレンジを続けた場合、どうでしょうか。

いくら神経が図太い人でも、8倍ぐらいになったところで、「ここまできたなら、もう十分に勝っているからこのへんでやめておくか・・・」とか「もし次に勝てたら16倍だけど、負けたらゼロに戻ってしまう・・」とか、そういう気持ちも迷いが必ず芽生えるのではないかと思います。

迷いが生じたときの勝負は、どういうわけか必ず負けます。勝負のほとんどは自滅なのです。つまり、ひとたび迷うと最後の勝負まで辿り着くことができないのです。

それが、最初からゴールイメージを持っておくとどうでしょうか。32倍まで勝たないなら、そもそも意味がないと考えます。その途中で負けてゼロになっても、失うものは1だけ。そういう強い心を持って勝負に臨むことで、32倍までの世界を見ることができます。

つまり、これの思考であれば、周囲から見るとあの人は神経が図太くぶれない人だと見えることになります。

つまり、なんとなく手なりで、先のことを考えず勝負している限り大勝には辿り着かない。そういう側面が勝負にはある。

たとえば麻雀でも、役満という大きな手があります。これも原理は同じです。役満にあまり縁がない人というのは、我慢ができないのです。勝負の途中で、様々な手変わりがあるので、途中で手を変えてしまったり、あきらめてしまう。明確にゴールイメージを持ち、ぶれずに待つことができる人ほど、役満の成功体験がたくさんあるはずです。

そして、これは実はビジネスにおいても一緒だと思います。起業家は、少し先の未来をイメージします。そのゴールに対して、躊躇なく勝負をかけます。

外から見ると無謀だと思われること。時には自分の人生の大半を賭けて、負けたらすべてを失うような勝負にでることもある。それでも強い信念を持てるのは、ゴールイメージまで走りきることを強く意識しているからで、だからこそ目の前のリスクに鈍感になれるのだろうと思います。

以上が、大勝ちをする人の思考方法のひとつです。

思考法のひとつという言い方をしたのは、勝負というものは、そんなに単純なものではないと思うからです。大勝ちするための思考は、この他にもいくつもあるでしょうし、そもそも大勝ちすることと、長い間勝ち続けることもまた違います。

ちなみに、長い間勝ち続けられる人の秘訣は、どんなに目前に勝利が迫ったとしても、自分の持ち手がとてつもなく大きく、勝負をかけたくなったとしても、何か嫌な予感がした時、あっさりと勝負を降りられる人が勝ち続けられる人です。これはこれで相当な信念がないとできないことです。 勝負は欲望との闘いです。目もくらむような報酬を前に降りることができる人は、非常に強い人であり、そこにもひとつの哲学があります。

・・・と、書いていくと長くなりそうなので、いったんはここまでにしておきますが、こういったことを学び、人生の教訓として活かしていく。そんな道場があっても面白いかもしれません。

当日記の無断転載は禁じられておりません。大歓迎です。(転載元URLの明記をお願いいたします。)

バックナンバー
#面白法人カヤック社長日記

だいたい、肌感6割叶います。
だいたい、肌感6割叶います。
No.140
だいたい、肌感6割叶います。
新年を迎えて、あっという間に1月がすぎてしまいました。 皆さん今年は、どんな年にしたいですか? おそらく「飛躍の年にしたい!」って。8割ぐらいの人が口に出しているのではないかと思います。僕...
2025.01.24
この一年で最も読まれた社長日記ベスト5を振り返る
この一年で最も読まれた社長日記ベスト5を振り返る
No.139
この一年で最も読まれた社長日記ベスト5を振り返る
さて、2024年最後の社長日記になりました。一年の終わりは、その年に最も読まれた社長日記ベスト5を解説するのがわりと恒例なので、今年もやります。ここ数年でも、今年は初めてのスポーツ産業への資...
2024.12.20
AIに社長日記を任せてみた
AIに社長日記を任せてみた
No.138
AIに社長日記を任せてみた
さて、今回の社長日記は、今までにない試みをしてみたいと思います。 それはAIに僕の社長日記を勝手に書いてもらおうという試みです。 過去10年分にもわたる僕の社長日記をAIの素材として読みこ...
2024.11.19
ブレストはお題が9割
ブレストはお題が9割
No.137
ブレストはお題が9割
今回は、カヤックが大切にしているブレストにまつわるお話です。 今年公開した12分の25周年の記念ムービーの中にも、何度も登場するブレストというキーワード。 「ブレストに始まりブレストに終...
2024.10.22
僕が英語をあきらめた日の話
僕が英語をあきらめた日の話
No.136
僕が英語をあきらめた日の話
さて今回は、10年以上前の話をしたいと思います。 2012年、僕は「カンヌライオンズ」の審査員に選出されて、フランスのカンヌに行くことになりました。 カンヌ広告祭は、その年もっとも良かっ...
2024.09.19

関連ニュース

© KAYAC Inc. All Rights Reserved.