「決断」についてのセオリー | 面白法人カヤック

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2017.09.29

#面白法人カヤック社長日記 No.31
「決断」についてのセオリー

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今回は、「決断」というテーマについて書いてみたいと思います。

社長日記を長いこと書き続けていると、どんなことを書いたか、もはや思い出せなくなってきます。でも、このテーマに絞って書いたことはなかったと思いますので、改めて整理して書いてみます。それほど目新しい話ではないですし、リーダー経験が豊富な人にとっては、それほど気づきのある話ではないかもしれませんが、リーダー経験の浅い人には、何らかのヒントがあるかと思いますので。

「経営者の仕事とは何なのか?」

よくある回答のひとつとして、

「決断することが仕事です」

というのがあります。

確かに、経営というのは日々決断の連続です。立場が上になるほど、自分で決めなければならないことが増えてきます。それまでは、上司やリーダーが決めていたことに従って動いていたわけですが、ひとつ上のポジションになるたびに、自分が決断しなければならないことが増えてくる。誰かにその決断をゆだねることはできず、自分で決めなければならない。その決断ひとつで、チームを成功に導くこともできれば、路頭に迷わせてしまうことにもなりかねない。

会社においては、あらゆる判断の最終決定者は経営者です。最も「決断」する才能を持つ人であるべきですし、「決断」について最も深く考え、その力を磨き続け、修練していかなければなりません。

そんなわけで、20年間の経営者経験を経て、僕が決断する上でこだわっていることを3つ書いてみます。

1:とにかく早く決断する

意思決定の早さは、チームを勝利に導く上で、ものすごく重要です。決断が遅いことによって致命的な危機が訪れることばかりでなく、早く決断することで致命的な危機が訪れることも、もちろんありますが、どちらが多いかといえば、前者の方が多い気がしないでしょうか。僕はそう思っています。

ですので、まず心構えとして、とにかく早く決断することを意識しておかなければなりません。問題を注視したくないから先送りにする。失敗したくないから、決断をしない。こういうことがないようにする。

もちろん早く決断することが目的ではなく、決断によって成功をもたらすことが目的です。だから、時にはじっくり時間をかけた方がいいこともある。けれども、自分の実力を磨いていけば、決断するスピードは必ず速くなりますし、過去に同じような問題が起きていたら、以前よりも決断は早くなるはずです。

そして世の中には、正解か、不正解か、いくら考えてもわからないことがある。であれば、最速で決断した方がいい。

決断には、失敗がつきものです。失敗をたくさん繰り返して、決断の精度をあげていく。経営者は日々そのサイクルを繰り返しているので、自ずと決断の達人になる。

つまり、決断の達人になるためには、スピードを意識することが重要だと考えています。

2:自分なりの決断のセオリーを身につける

そもそも迷うことがないようなことは、決断でもなんでもありません。どちらにするか迷う。この先、どうすべきか見えない。答えのない問いに覚悟を持つからこそ、「決断」なのです。

では、そんな答えのない問いを前にして、どうやってスピード感を持って決めるのか。人は必ず、何かを決めるときの自分なりの哲学、自分なりのセオリーがあるはずです。そしてそれはおそらく、人それぞれ違う。

僕でいえば、人です。たとえば、今をさかのぼること22年前、僕はサラリーマンを2年ほど経験しましたが、新卒で入社する会社をどこにするか、ほんとに迷いました。事業内容や会社規模の比較等では、まったく判断がつかなかったので、それぞれの会社の入り口の前に一日中立って、どんな人が働いているのかを見て、最終的に入社する会社を決めました。

これが、僕のセオリーのひとつです。今でも、この事業に賭けるかどうかは、人を見て判断をします。

とか。

これは一例ですが、自分が決断するときには、必ず自分なりのセオリーがある。これをしっかりと持っておく。これによって、信念を持ってゆるぎない気持ちで決断ができるようになります。

3:決断時の心の在り方を見極める

経営をしていくと決断力が磨かれていきます。ですので、同じ問題が起きても、迷わなくなっていきます。ですが、会社の成長とともに、必ずまた難しい問題が現れます。

繰り返しになりますが、決断する上で迷うのは、簡単に正解がないからです。経営をしていると、年に何回か、そんな問題が必ずやってきます。

そんな決断をする上で大事にしているのは、上記2つに加えて、「自分がどういう気持ちでその決断をしているのか」という問いかけです。

心が乱れているとき、重要な決断をすると必ずミスります。

心が乱れているとき、たとえば、自分が何かの不安や恐怖を感じているときです。この判断をミスると会社が倒産してしまう。それは経営者としては恐ろしいことです。でも、恐怖に駆られた状態での決断は、大抵良くない結果になります。

心の中に潜む恐怖は、自分をひとりよがりにします。自分を狭い世界に閉じ込めます。そもそも決断できないような難しい問題というのは、ひとりよがりの考えでは判断がつかないからこそ、難題なのです。であれば、恐怖に駆られている心理状態は、本能的にひとりよがりになりますから、そんな気持ちで判断することが正しい方向にいくわけがない。

自分は何を恐れているのか、何が恐怖の原因なのか、そこをしっかり見つめることから入らなければならない。何に恐怖を感じているのかを直視できれば、不思議と恐怖は薄らぎます。ゼロにはなりませんが、少し冷静になれるのです。そうやって心を穏やかにしてから、決断をすべきです。

ちなみに、早く決断することで致命的な危機が訪れることもあると書きましたが、これは往々にして、心が穏やかでない状況で決断したときです。そういうときは、決断を少し先送りして、時間をかけてから決める。その一呼吸が大事なときもある。

わかりやすい事例を話すと、非常に頭にくるメールが届いたとき、感情的になってすぐ返信してしまうと、ろくなことを書かない。一日経ってから考えると、冷静な返事が書ける。そういう経験は誰にでもあるかと思います。そういうことです。

つまり「決断」において一番重要なことは、「どういう気持ちの在り方で決断をしたか」に尽きるのではないかと思うのです。いかに心を穏やかにするか。

もちろん何日経っても穏やかにならない、ひたすら頭を抱えてしまう大きな問題もあります。そんなときでも、速やかに心を穏やかにするための自分なりの方法を持つことも重要です。たとえば瞑想のような静的なことだったり、スポーツや山登りのような動的なことだったり、方法は人様々です。

「決断」し続けることを宿命づけられた経営者という人種は、そういった方法を身につけなければなりませんし、迷いなく「決断」ができるように、心身ともに健康であることにも投資し続けないとならないのだと思います。

今回は以上です。

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