2018.02.14
#面白法人カヤック社長日記 No.37カヤックが、出資先に期待すること。協力できること。
2014年にカヤックが上場してから3年経ちました。この3年で、M&Aをしたり新規事業で会社を立ち上げたりしました。結果、連結対象の子会社が7社。それ以外にマイナー出資した会社も徐々に増えてきました。
ご参考:カヤックのグループ会社一覧
そこで今回は、カヤックの考えるグループ会社戦略についてあれこれと書いてみたいと思います。
新会社設立やM&Aの条件は?
カヤックは、この規模の会社にしては、事業が多角化しています。多様なビジネスを展開していると、よく「どういう基準で新規事業の投資を決めるのか?」「どういう会社なら出資・買収したいと思うのか?」という質問を受けます。
それに対して、僕らとしては、以下の3つの条件をお答えしています。
1:はじめに仲間ありき
カヤックという会社は、もともと創業者3人が学生時代の友人で、この仲間と一緒に成長したいという思いだけで立ち上げた会社です。何をするかはまったく決まっていなかった。
つまり「何をするか」よりも「誰とするか」ということを優先してきた会社です。そう考えると、新規事業にせよ会社を買収するにせよ、それを率いるメンバーが魅力的な仲間であるかということがまず大事な条件です。
一緒に働きたい仲間に出会ってしまったのでその事業に参入したということも過去によくありました。ですから、事業譲渡だけというケースよりは、経営陣も一緒にきてもらいたいと思っています。
ですのでM&Aする場合も、しっかりと事前に相互の経営陣が徹底的にアイデアを出し合う事前ブレストをしたりして、一緒にやれるかどうか、お互いに確かめ合ってから決定します。
最近グループ会社に参画したWellPlayed社も、経営陣同士で事前に何度かブレストし、最高に熱くて良き仲間になれそうだと個人的にも思いました。
もちろん、一緒にスタートした仲間であっても、時間とともに方向性が変わることはあるので、途中でメンバーが入れ替わったり、辞めることがあってもよいと思います。ですが、とりあえず最初に一緒に仲間としてやって面白いかどうかをお互い確かめ合えればと思っています。
2:カヤックのクリエイターとのシナジーがあるかどうか
カヤックの強みは、クリエイティブ力です。企画・デザイン・技術に情熱をもやすクリエイターが在籍するということです。
ですから、新規事業や、グループにジョインする会社の事業が、カヤックのクリエイターと組んで競争優位性を出せるか? というのがシナジーのポイントとなります。
たとえば、昨年秋に投資したジャーニーカンパニーという会社。鎌倉や都内で「ca ca o」というチョコレート屋さんを展開しています。資本提携を行なったことで、カヤックのクリエイターが入ってECサイトをリニューアルしました。クリエイティブで事業の価値を向上するという意識で取り組んでいます。
ご参考:cacao
(バレンタインデーには「ca ca o」のチョコレートをぜひどうぞ。)
あるいは、グループ会社でウェディングプランナーのマッチングを行うプラコレもそうです。今までにないUIやUX(デザイン的な専門用語です)にチャレンジした結果、ブランディングに寄与しているのではないかと思います。
また、クリエイティビティにおける企画力の部分に着目すると、オリジナリティのある事業にこだわる会社を積極的に投資したいと思っています。
WellPlayedも日本で唯一のesports専門ですし、プラコレも、ウェディングプランナーとのマッチングというまだ世の中にないサービスです。そういうことにこだわっていけるかどうかがポイントになります。
このように面白法人と資本関係のある会社には、ぜひオリジナリティを持ち、高いクリエイティビティを追求している共通要素があってほしいと思っています。
3:「どこでするか?」にこだわる
連結対象になるような投資をする場合は、基本的に上記の1,2の条件を兼ね備えていることが必須です。一方で、もうひとつの軸として、カヤックの本社がある鎌倉近郊の会社であれば、積極的に投資を行っています。
これは、カヤックが今後、鎌倉資本主義(別名:地域資本主義)という、地域のステークホルダーを巻き込む新しい形の資本主義を提唱していく計画があるからです。
地域経済の生態系をつくる上では、地域の企業同士ゆるやかな資本関係でつながり、お互いに地域の経済成長にコミットする。それが合意できる企業であれば、本社インフラをはじめとする共通コスト比率も高くなりますので、コスト面でのシナジーもあります。
地域における企業の共通コストとは、たとえば、一緒に地域の企業主導型保育事業を運営するとかです。企業は今後、社員の住環境を含めて、ワークライフバランス全体に責任を持つ時代に入ってくると思いますので、それを同じ地域の企業で取り組んでいきたいと考えています。すなわち、「誰とするか」も重要ですが、「どこでするか」も重要だと考えています。
以上の3つが、新規に会社を設立するとき、会社をM&Aするときの条件です。
続いて、グループ会社に対してカヤックが求めること、そして提供できることを書いてみたいと思います。
カヤックがグループ会社に求めること、提供できること
1:グループ会社で大切にしたい共通の文化「ブレスト」
M&Aの問題点として挙げられるのは、異なる文化の統合がなかなか進まないという問題です。どちらか一方の価値観を押しつけるのも嫌がられますよね。
だから、無理やりカヤックの文化と合わせる必要はないと思っています。ただ、まったく共通の文化がないと、わざわざ一緒になった意味もない。
なので、たったひとつだけ、これだけは合わせてほしい文化があります。それがブレスト文化です。つまり、何か困ったときや、何か仕事をする上で、常にブレストを社内で行いたい、これだけは共通の文化にしたい。
このブレストをすることこそが、自分達がどんな状況であれ面白がって働く文化につながりますし、一人ひとりが個性を大事にし、オープンで、変なヒエラルキーができないフラットな文化をつくりだします。かつ、グループ会社の社員同士が一緒にブレストするだけで、仲良くなって垣根もなくなりますから、実はブレストそのものが異なる文化を融合させる潤滑油にもなる。そういう意味で各グループ会社にはブレストだけはやっていただきたい。
幸いブレスト未経験でも、簡単に初心者がブレストのトレーニングができるブレストカードをつくりましたので、これで誰でもできるようになります。
参考:ブレストカード
2:カヤックが提供できる人事ソリューション
「誰とするか」を重要する経営は、いってみれば、組織戦略や人事が強いということになるのではないかと思います。カヤックの人事は、面白い採用キャンペーンを仕掛けていますし、組織の大切にしていることを抽出して、人材採用や人事評価、社内文化の醸成に向けて仕組化することが強みなのではないかと思っています。そうしたノウハウをフルに活かして、カヤックのグループ会社と一緒に組織をつくっていきたいと思っています。
3:一緒に取り組みたいこと「グループ間シナジー」
普通に考えると、事業が多角化しているというのは、すこぶる効率が悪いことです。
戦略とは絞ることであり、多角化するよりも事業を絞った方が、高収益になりやすい。ですが、多角化していることを逆手にとって、プラスにできないかと考えています。
それは「多様な事業、多様な仲間がいるからこそ、その掛け算で、イノベーションが起きやすい」ということではないかと思っています。
つまり、各グループ会社の経営陣は、自分の事業のことだけ考えているのではなく、他のグループ会社の事業にも興味を持ち、常に一緒にコラボしてイノベーションを生み出していく。そういう生態系にしていきたいと思っています。
ちなみに、今春4月には、新たに「グループ戦略室」を設立する予定です。企業同士、人と人とがつながり、グループ企業の経営者同士がそれぞれの事業戦略を一緒に練る機会や動機をつくることによって、多様な事業を持つ企業ならではのオープンイノベーションを生み出していけたら嬉しいです。
以上になります。
カヤック仲間になってもいいという会社がありましたら、募集中です。お待ちしております。
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