2018.03.13
#面白法人カヤック社長日記 No.38リーダーじゃない人に向けて書いたリーダー論。
僕は面白法人カヤックのCEO、すなわち、組織のリーダーという立場で仕事をしています。
今回は、この立場になってわかったことで、リーダー経験のない人や今後もリーダーになるつもりのない人に、役立ちそうなことを書いてみます。
リーダーという立場は、時に批判を浴び、時に称賛を浴びます。
まず最初に、批判について。
リーダーとてひとりのちっぽけな人間ですから、批判をされれば傷つきます。ですが、責任ある立場であったり、何かを発信する立場の人ほど、批判をされるのも仕方がないことであり、批判を受けることによって、自分というものが鍛えられるという側面があります。
また、傷つく自分を守ろうとして、人からの批判に不感症のようになってしまうのは良い方向とは思えませんが、自分の痛みをしっかりと見つめれば、人の痛みもわかるように成長できるのではないかと思います。
たとえば創業社長ならだれもが経験していると思いますが、創業当初、会社や自分の批判をする社員がいると悲しいものですし、相手を嫌いになってしまいそうになります。何気ない会社への批判も、創業社長にとっては会社=自分ですので、まるで自分が批判されているかのように感じてしまう。
ですが、そういった経験によって、自分が成長し、いい会社を作ろうという原動力にもなります。そのように考えると、批判という行為は、その組織のリーダーを鍛える効果があり、リーダーを鍛えるということは、その組織に貢献しているという側面があるともいえるのです。
一方で、称賛について。
やはりひとりの人間として、称賛してもらうことはうれしいものです。僕も創業して20年。今まで、自分を信じてくれる人、自分を励ましてくれる人、称賛してくれる人、それが社内にも社外にも少なからずいたからこそ、ここまでやってくることができました。
若かりしころ、大成功している経営者から「君は見どころがある」そんな一言をいわれたこと。入ったばかりの新卒が「会社を大好きだ」といってくれたこと。そんな風なちょっとした期待が、自分をどれだけ勇気づけ自信になったか。そして、今の自分の人格ができました。
で、ふと思うのですが、いま現在、どんなに成功しているように見える大経営者でも、どれだけすごいリーダーでも、実はたったひとりで強い思いを持っていたわけではなく、その過程において、自分を信じて応援してくれていた人がいたからこそ、そこまでいけたのではないかと思うのです。
つまり、リーダーという人格は、組織において物理的にはひとりだとしても、実はみなでつくった人格ではないかと思うのです。
そのように考えると、組織のメンバーは、誰であれ、リーダーや周囲を鼓舞することができる。そのことを意外とみんなわかってない。人はどんなポジションにいても、そのような影響力を持ち得るのです。
つまり、組織のリーダーじゃなくても、どんな立場でも、人は人を導けるし、組織に多大な貢献をすることができる。自分の言動ひとつで、その組織を良い方向に持っていくことができる。
たとえば経営者のそばには、秘書という存在がいることがあります。秘書は、ほかの社員と比べてある意味経営者の状況は誰よりもよくわかる。そう考えると、秘書の経営者への仕事ひとつで、経営者の気持ちを上げも下げできる。秘書を単なる社長のスケジュールを管理する人と考えるのと、社長を最もエンパワーメントできる仕事と考えるのでは、おのずと意識が変わります。そして僕の秘書は、何年も本間さんにやってもらっていますが、いつも励まされています。ほんとにありがとう。
このように、批判であっても称賛であっても、メンバーは自分の行動ひとつで、組織に多大な影響を与える力を持っている。この立場になって、それが初めてわかったことです。そして「仲間と一緒に組織をつくる」醍醐味というのは、まさにこれだと思うのです。
・・と、ここまで書いてきて、ふと自分を振り返りました。僕自身が果たしてそのようなことができているかどうか。前途ある若者に対して、あるいは自分の住む地域の首長に対して、もっともっと意識して励ますことができるなと。
以上が今回のお話です。
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