2024.02.19
#面白法人カヤック社長日記 No.129カヤックの原点『沖縄』で新たな挑戦をはじめます【面白法人のこれからの10年 #3】
年初でお伝えしたように、2024年は、僕の今後の10年というものを何回かに渡って書いてみたいと思います。
そのテーマでの第2回である前回の社長日記では、カヤックのこれからの10年の目標を書きました。その中で、「5:地域資本主義的グループ経営を深めていく。」
ということについて今回は深掘りしてみたいと思います。
そもそも地域資本主義とは何なのか?何度かこの社長日記にも書いてますが、あらためて少々。
地域資本主義は、面白法人カヤックが提唱する新しい資本主義の考え方です。シンプルにいうと企業(特に上場企業)は地域に根付いて地域をよくする(まちづくりをしていく)ための担い手となりましょう。ということです。
従来の資本主義では、企業という存在は、雇用を生み出し、利益さえ出していれば社会に十分貢献している存在だといえたのではないかと思います。資本主義の国では、経済指標こそが社会を幸せにする最大の指標で、その1つとしてGDPを重要な指標としてきました。そこに企業は貢献するというわけです。
ところがある程度経済が成熟してくるとGDPだけでは人々の幸せ度はあがらず、地球環境に対する課題もでてきました。また、経済に特化した都市にどんどん人が集まり、強い企業はとことん強くなっていくので、経済的格差が広がる一方だという課題もでてきました。その中で、その課題にとりくむための様々なルールが生まれてきています。そこで、その1つのルールとして、企業が行う地域への貢献を可視化することで、地域貢献を動機づけできないだろうかというのが地域資本主義の発想の発端です。どこまで貢献したかを、共有された指標をつかって測っていく。もちろん、地域は、必ずしも経済指標の向上だけでまちやそこにに住む人は幸せにならない。経済指標以外の別の指標、いままであまり測られたことのない地域に暮らす幸せに相関する指標、例えば社会資本や、環境資本といったものも新たな資本とみなして、その資本を増やすことに企業にも邁進してもらう。資本を増やすことは企業の得意分野でもあり、それこそが地域に貢献することなのです。このような考え方を整理し、地域資本主義と再定義しました。
ただ、考えてみれば、地域に根ざした企業というのは、昔から存在します。そもそも、地元の人向けに商売をしている地元企業はそのような思想をもっている企業も少なくありません。また、大企業の上場企業であっても企業城下町と言われるように地域に根ざして大きくなってきた企業は、自然と地域のことを考えなければならなくなる。しかしながら、地域を食い潰すように成長している企業があることもまた事実です。地域資本主義では、地域への貢献度を指標として可視化するすることで、社会的な責任として評価することで地域と共生的に成長していく。ここが従来の自然発生的な地域企業のあり方と微妙に違うところです。
資本主義がグローバルしていく中で、企業城下町と呼ばれる企業がその街をさってしまって、一気にすたれている街は日本各所にあります。つまり企業は企業の理屈で動くので、ビジネスにとって効率が良い場所があればうつってしまう。ビジネスのしやすい都市を目指して集中してしまうのもその理屈です。その考え方でいくと、自分たちが存在する地域の環境をよりよくしようとは思う動機は薄く、汚染されればまた違う場所にいけばいいという発想につながる可能性がある。ただ、最初からその地域に貢献するということが一番目に入っていると必死にまちづくりに対しても企業がコミットしなければならなくなる。仮に事業領域が変わってその地域にいることが相性がよくなくなっても、そのまちのためには一気にいなくなるわけにはいきませんから、また違う事業領域を必死に探してでもまちに貢献しようということにすらなりえるかもしれません。あるいは、外国や大都市に本社をかまえる会社が地方に拠点を構えたとします。経済的価値を生み出し本社にどんどん吸い上げていくとなると都市に資本が集中し格差が広がっていきますが、その地域にしっかり貢献しようと思って動いてくれるなら地域にとってもウェルカムです。
つまり地域に貢献するということを大命題において経済活動をすることは、地球環境を大切にすることにも、資本主義のもう1つの大きな課題である、富の格差、すなわち地方都市と都市の格差の是正にもつながっていくと思うのです。
そのように考えて、我々は鎌倉で地域に根ざした企業経営をしてきました。その結果鎌倉においては地域に貢献するような活動(保育園事業や、まちの社員食堂や、カマコンと呼ばれる地域のコミュニテイ活動などなど)もしつつ、地域に根ざした事業を多角化してきました(不動産事業や、葬儀事業なども)
ただ企業の地域貢献が、社会にとってはいいけども働くメンバーにとってメリットがないとなると、これはまた理想だけの話になってしまいます。ただ、そこはまさにです。20年以上かけて実験してきた結果わかりました。職住近接を推奨し、その地域に住み、その地域に貢献する企業で働くことは、社員の働く満足度もあがるということもわかりました。
社員1人ひとりが地域活動に参加することを推奨したり、参加してなくても自分の働く企業が地域をよりよくしようという理念があることを知っていることが、社員のウェルビーイングをたかめる1つの方法となっているのです。
会社においては社内の評価というものがあるので、うまく行かない時もありますが、会社が成長すれば自分の住んでるまちに貢献すると思えば、必ずしも自分が活躍してなくても会社に対して誇りをもてるということもあります。また、地域の活動に参加することは、それだけで貢献している充実感をもたらしますどちらも、自分が地域や社会をよりよくしていくことに貢献しているという実感をもち、気持ちが豊かになれるというものです。
そんなことがわかってきました。
この考え方と活動を広めていくことで成長していこう。これからの僕のカヤックの残りの目標もそう考えています。
その中で本日発表させていただいた内容の1つがこちらです。
カヤックがFC琉球に資本参加のプレスリリース
カヤック沖縄本社設立のカヤックニュース
沖縄は、カヤックにおいて縁が深い地域です。カヤックの創業者の3人は、学生時代の同級生であり、大学1年のときに沖縄の石垣島に旅行にいきカヤックの創業を決意しました。それもあって石垣島にすでに現在カヤックの子会社である(株)カヤックゼロも3年前に設立して活動をしております。この会社は石垣島でのコワーキングスペースの運営と、沖縄スタートアップの支援などをしています。また石垣の泡盛メーカーである池原酒造(https://www.shirayuri-ikehara.com/)にも出資し一緒に面白いことをしかけています。
あるいは面白法人グループのサンネット)も沖縄にあります。またカヤックも沖縄の那覇空港に沖縄の素敵な名産品や地元のクリエイターが作った作品を販売するショップDearOkinawaを運営しています。
・・・など、すでにご縁がありましたが、今回のリリースのとおり、地域資本主義の考えかたにのっとり、今後の目標として、より沖縄の経済はもちろんまちに貢献できるように沖縄での活動を増やしていきたいと思っています。地域にしっかりと貢献できる存在になりたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。
なお、現在沖縄で働きたいクリエイターも募集をしております。
こちらにご連絡ください。
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