2016.09.29
#面白法人カヤック社長日記 No.15自分自身の非を全く認めない人が、必ずしも悪いとは限らない件
最近とある現場で、AさんとBさんが対立構造にあり、Aさんがこう憤っていました。
Aさん曰く、Bさんは自分自身の非をまったく認めない、一方でそのAさんに対しては全否定の姿勢。でも、実際のところ、何か問題が起きて対立が起こった時って、本来どちらかが100%悪いなんていうことはなく、必ず双方に何らか問題があるもの。だから、まずはお互いに自分が悪かったところを見つめて、認め合ってから、話を進めたい。でも、Aさんがいくら頑張っても、そういう話にならず、Bさん自身は、自分のことを100%正しいと思っているので、Aさんとはかみ合わず、Aさんも憤ってしまう・・・。そんなシーンを遭遇しました。
自分にもAさんのような経験があって困った。そういう方もきっといると思います。何を隠そう、僕も比較的Aさんタイプで、しっかりと本音で相手に向き合い、お互いの立場になって考えれば、必ず双方に良い点問題点があるはず、そう思っているタイプです。
そんなAさんタイプにとって、そういう思考をしない人と対立した時ほど苦しい時はありません。なんせ相手は、一切自分の非を認めず、100%相手が悪くて100%自分は正しいと思っているわけですから。「おいおいちょっと待てよ、100%自分が正しいという思考そのものが正しくないじゃないか」と、いくら話しても会話が平行線状態で絶望感を味わうのです。僕もそのような人との関係性に苦しんだこともありました。
ところがです。ある時気づいたのです。
このAさんの思考そのものが、課題なのだなと。実は、Bさんは100%相手が悪く100%自分が正しいと思っているわけではない。AさんからするとBさんがそう思っているように見えるというだけで、決して事実はそうではない。
どちらかというとBさんは、今現時点で相手に対して怒っていたり、相手を認めていなかったりするので、単に相手の悪いところに焦点を合わせて話をしたいだけで、その段階では自分の悪いところを話す気なんてさらさらない。ただそれだけなのです。しかも、喧嘩しているような時であれば、なおさらです。そもそも相手にむかついているから喧嘩になっているわけで、そんな時に自分の悪い点なんかに、これっぽっちも焦点を合わせる気はないわけです。
つまり、お互いの悪いところを見つめあって話しましょうということ自体、数あるコミュニケーションの選択枝の1つであり、Aさんがそうしたいというだけで、Bさんはさらさらそういうスタイルを採りたくないと言っているだけなのです。
何のことはない、Aさんは当然自分のコミュニケーションが正しいと思っているというだけで、結局はお互いにお互いが正しいと言っているのと一緒なのです。
ちなみに、テラフォーマーズの18巻にも、こんなセリフがあります。
「論理(はなし)が、通るか通らなぇかっての自体が、お前ら側の価値観だろ?」
そこに気づけば絶望感はなくなります。
Bさんは、今はお互いの悪いところを話す気なんてないけど、冷静になった時に、自分も悪いところがあったなと思うかもしれないし、そもそも、今後もまったく思わないかもしれない、どちらでもよいかと思えるようになるわけです。
そして、このAさんとBさんの対立構造を俯瞰すると、どちらかというとAさんが論理的なタイプで、一方Bさんは感覚的なタイプの場合に起きているとも見えます。
つまり、論理的な人は論理的であるがゆえに、感情的な人との対話で絶望感を味わうことになるわけです。
論理的な思考が好きな人は、ここは注意しておかなければならないポイントです。
今回は以上です。
追記:
前回の社長日記では、起業家という職業の才能を2つのタイプに分類する記事を書きました。僕は、職能というものに興味があり、その職能を突き詰めるためにはどうしたらいいか、どういう人がその職能に向いているのか。などを考えることが好きです。
だから、例えば、
- 起業家と経営者の違いは何か?
- 上場企業の経営者と非上場の経営者の違いは何か?
- 社外取締役はどういう人が向いているか?
とか。
特に社外取締役については、僕も現在2社ほど務めていることもあり、どこかで取り上げてみたいテーマです。
自分が起業家であり経営者でもあるので、どうしてもそういうテーマが多くなってしまうのですが、興味のない方には時につまらない話になってしまうこともあるかもしれません。
実はこの社長日記に対してそういう指摘があったので、今回はちょっと毛色を変えた話にしてみました。また、文章が長すぎるとも言われたので、さらっとしてみました。どうしても書いていると長くなりがちなんですが、確かにいまどきは、長い文章をじっくりと読んでくれる方少ないですからね。いかにさらっと簡潔に書き上げるか、それが求められているんだろうと思います。
今後も、この社長日記について、何かこんな風にすべきだ、こんなことを書いて欲しいといったご意見があればお待ちしております。
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