KPIという言葉が嫌だった僕が考える、会社全体が、上手く回る指標(KPI)のつくり方。 | 面白法人カヤック

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2016.12.14

#面白法人カヤック社長日記 No.19
KPIという言葉が嫌だった僕が考える、会社全体が、上手く回る指標(KPI)のつくり方。

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日々何気なく行っていることを、ちゃんと言語化して整理する。
こういった作業は意外と重要なのですが、今回は仕事をしていく上での、指標(KPI)についてのお話しです。

まず、そもそもなのですが、仕事をする上で、指標が重要だということが、いまひとつ体感値としてない方や、そもそもKPIなんて言葉が嫌だという人もいるのではないかと思います。

例えば、学生時代に多少なりとも売上や利益という指標のメカニズムを体験できるアルバイト(「飲食店で店長をやっていました」など)の経験があれば、スムーズに疑問なくスタートできるのでしょうけれど、そういう体験がない場合、まずは社会人としてそこに戸惑うのではないかと思います。

ちなみに、そういった方の気持ち、よくわかります。なんせ、僕も新卒で入社した会社の部の会議に出たときに、売上&利益という指標の話をしきりにしている会議に出て、なんだかさっぱり興味がもてませんでした。
恥ずかしい話ですが、そもそもなんで売上や利益をあげなければならないのかすら実感としてよくわかっていなかったのです。そんな0からの社会人スタートでしたが、それでも、今は、20年も社会人経験を経て、仕事というものを体感した結果、仕事上における指標の重要性に気づくことができました。これはチームを率いるようになると、より理解できるようになります。
結局、指標がしっかりとある方が、チームの成長は早いですし、創意工夫も生まれやすく、共通の目標ができるので、チームもまとまりやすくなります。

なお、指標は様々なものがあります。事業をする上で、大事な指標といえば、もちろん、売上&利益といった指標ですが、事業のフェーズによって重視すべき指標は異なります。

例えば、投資フェーズなら、売上&利益は一切気にせず、違う指標、例えば、ユーザー数を伸ばすことだけに専念するフェーズもあります。このように、事業においてどの指標にフォーカスするかを決定することは非常に重要ですし、そこをないがしろにすると事業もチームも迷走します。

この指標は、事業だけではなく、組織においてもあります。例えば、人事であれば「退職率」や「従業員満足度」などが挙げられます。ちなみに、今年カヤックの人事部で指標とし、最も改善に取り組み成果をあげたのは、内定承諾率でした。
このように、ビジネスというものに真剣に対峙すればするほど、指標の重要性に気づくのです。

ですが、一方でそれを毛嫌いしている人の気持ちもわかります。それは、何でも指標として数字化してしまうことがそもそも嫌だという感覚。直観派の人にはその感覚があると思います。世の中には数字で測れないものの方が多いですからね。

また、指標を毛嫌いしている方は、指標を追い求めすぎるあたりに、犠牲を強いるというケースを懸念するのではないかと思います。例えば一番単純なところでは、売上&利益を追い求めすぎて、何かを犠牲にしてしまうとか。

そういった場合、自分達が大切にしている価値観を指標に落とし込む努力をするということで、そこに立ち向かいますという方法があります。カヤックでは、「社員が楽しく働けているか」を大事な指標の1つにしてます。

以前に、健康経営 についての記事を書きましたが、健康経営ができているかの指標として一番大事な指標は何なのだろうか。単純に考えると、休職率を下げるということになりそうですが、そうではなく、本来、休職したあとの復帰率を高めることの方がより本質的なんじゃないだろうか、とか。

あるいは、指標を設定する上で、もう一つ重要なのは、指標と報酬制度をどう連動させるのか、あるいは連動させないのか、という視点です。
指標を達成してさえいれば、報酬が高くなるという設計にすると、どうしたって、結果重視で手段は問わないという方向にむかう可能性が高くなります。そこに、正しいプロセスでやっているかを判断するかを、指標で見れるようにする、会社が大事にしている価値観を反映することができます。

・・・というように、ここまでのことをまとめると、ビジネスにおいては、指標を設定することが重要だということと、設定する指標の内容次第で、その会社の価値観が出るということなのだと思います。

そして、ここからさらに、今回の記事で、僕が指標について、言語化してみたいことを書いてみます。
それは、「誰もが指標を決める時は、自分のレイヤーと、自分よりもレイヤーが上下1つ違うレイヤーの指標も意識するとよい」ということです。
どういうことかを細やかに解説します。 たとえば、会社という組織には、階層構造があり、それぞれに様々な指標があります。

例えば

  • 取締役であれば、言うまでもなく会社全体の売上&利益
  • 事業部長であれば、その事業部としての売上&利益
  • 課長であれば、自分の課長としての売上&利益
  • 一般社員であれば、個人ごとの売上&利益目標 といった感じです。

指標は自分達で設定する場合も、上から設定される場合もありますが、仕事というものは、指標があるからにはそこにコミットして、どうやったら達成するかを思考錯誤しながら進めていくものです。
その際、それぞれのレイヤーがおいかける指標は、自身に与えられた指標に加えて、自分の1つ上のレイヤー、そして1つ下のレイヤーの指標を追いかけるようにマネージメントするメカニズムがあると、会社はうまく運営されていくのだと思います。

例えば、一般社員でいえば、一般社員個人として追いかける指標があり、その人が所属するチーム(ここでは課と想定)の指標があるので、そこにコミットする。そうすることでチームがまとまります。
課長であれば、「自分のチームの指標にコミットするだけではなく、1つ上のレイヤーである事業部の指標も意識しなければならない」とすることで事業部がまとまるわけです。そして、課長ということは部下がいるわけですから、自分より1つ下のレイヤーの部下がもつ指標を部下がコミットするようにサポートしたり、その部下が本人にとって1つ上のレイヤーの指標にコミットするように、育てていく。

これは、言い換えると、自分の上下1個までのレイヤーの指標にはコミットしやすいけど、それ以上のレイヤーに離れてしまうと、難しいということでもあるのかなと思います。

たとえば、一般社員が、会社全体の指標(すなわち経営陣の指標である)、全社売上&利益にコミットしろといわれても、難しい、まして新卒社員だったら、実感値もなければ、何をしていいのかさっぱりわからないですよね。それよりはまず、自分自身の指標と、自分が所属するチームの指標そこにコミットする、そこからのスタートだと思います。

このように、その階層ごとの指標をうまく積み上げで会社というものが成り立つ。
これが会社というもののメカニズムです。

もちろん、階層構造が多いか少ないかは、その会社のもつ思想の違いとしてはでてきます。(ちなみに、カヤックでは部長や課長という役職はありません。)
が、それでも規模にある程度比例しますので、大きくなってくれば、おのずと階層構造がでてきて、こういう構造できます。

つまり、会社という仕組みを作る側の視点に立つと、どのような階層構造を設計し、どこに所属しているメンバーに、コミットしてもらう指標をどうするかということを、しっかりと設計をすることが重要になります。

そして、ここまで読んでいただいて、自分自身を振り返ってみて、気づいた方もいるのではないでしょうか。

自分のレイヤーの指標は追いかけていたけど、意外と自分の上下のレイヤーの指標はおっかけてなかったなと、そういう人がいるのではないでしょうか。新卒社員なら、指標という概念すらない人もいるでしょうし、一般社員だけどもチームの目標を意識してなかったという人もいれば、あるいは事業部長でも自分の事業部だけの指標に集中していてその上の指標は意識していなかったという人や、部下に1つ上のレイヤーの数字にコミットさせることを怠っていた人もいるかと思います。

そして、かく言う僕もそうです。

僕自身はCEOという立場ですが、カヤックという組織においては一番上のレイヤーにいる人間です。当然カヤック全社の指標である全社の売上&利益という指標は四六時中考えてコミットしているわけで、経営層には、その指標にコミットしてもらうよう働きかける努力はしてきたつもりでした。

一方で、自分にとって1つ上のレイヤーとはなんなのか。それは、他社も含めた業界全体の指標なのではないでしょうか。そこを僕は意識しなければならない。
自分ではこれがまだ出来てないことに、今回の日記を書きながら気付きました。そこで、まず業界全体の指標とは何なのかを考えるところからスタートしたいと思います。

結局、自分自身の反省になってしまいました。

今回は以上です。

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