カヤックは、なぜ「コンチ」をつくり続けるべきなのか | 面白法人カヤック

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2018.04.26

#面白法人カヤック社長日記 No.39
カヤックは、なぜ「コンチ」をつくり続けるべきなのか

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早くも4月が終わろうとしています。すっかり春ですね。
今回は春らしい記事をひとつ。

面白法人カヤックが生み出したキャラクターのひとつに、ポケットフレンズ「コンチ」というものがあります。

ポケットフレンズ「コンチ」

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このキャラが誕生した当時、社内でも「こんなものを会社として出すべきではない」「いや、だからこそ出すべきだ」と賛否両論が起こりました。喧々諤々の議論の末、制作チームは、反対者も納得するレベルの高いクリエイティブを目指すことを約束し、世の中に出すことになるのですが、その代償として、二人の社員が辞める事態に発展したというプロジェクトです。

しかし、そんな代償を払って誕生したコンチは、高いクリエイティブで多くのファンを獲得しました。

当時はスマートフォンが出る前でしたから、ガラケーのサービスとして登場。「アバター要素(着せ替え)」と「位置ゲーム要素(ご当地キャラクター)」、そして「育てゲー要素」を兼ね備え、一時期は10万人以上の方が遊んでくれるサービスとなりました。コンチは10万人のポケットフレンズになったんですね。

その後、スマートフォンの普及とともに、カヤックではソーシャルゲームをつくるようになっていきますが、実は、そのゲーム事業部初期の中核を担ったのが、コンチの制作メンバーでした。

そんなコンチにまつわる、もうひとつのエピソードを今日はご紹介したいと思います。

実は数年前、スマートフォンの普及に伴い、コンチのスマホアプリゲームをつくるプロジェクトが、CEO直下で走っていました。メンバーは確か6人ぐらいだったと思います。

チームメンバーにはどんな人がいたかというと、たとえばデザイナーは、数々の広告賞を受賞した熱狂的なコンチファンの社員。リードエンジニアは、コンチとともに育った男。そして、当時はまだ新人でしたが、今ではカヤックのゲーム事業を横断的に見る立場になったある外国人エンジニア。社内の精鋭メンバーが集まりました。

そのメンバーとともに、半年ぐらいかけてコンチのゲームをつくっていました。

ちなみにカヤックのゲーム事業部では、制作過程において、いくつかのチェックポイントがあります。企画段階、プロトタイプ段階、αバージョンなど、それぞれのチェックポイントで、チーム内の評価が得られない場合、開発は中止。お蔵入りとなります。

ある時、コンチ制作チームは、チェックポイントを通過できず、開発中止が決まってしまいました。

当初、コンチがキノコを育てる農園ゲームだったはずが、育てたキノコが突然変異で悪者になり、コンチと悪者キノコのバトルが始まり、なぜかバトルゲームになってしまうという、企画の趣旨がブレブレだったこともひとつの敗因でしょうか。

メンバーたちは、なみなみならぬ思いでつくっていましたが、苦渋の決断で開発停止を受け入れることになりました。

ちなみに、ゲームの開発現場においては、こういったことはよくあります。どれだけ思いを込めてつくっても、一定のクオリティに達していなければ、お蔵入りしてしまうのです。

とはいえ、思いを込めて打ち込んできたプロジェクトです。メンバーの間に無念の思いが駆け巡りました。

僕は、これはメンバー全員で集まって、しっかり振り返りをしようと思いました。ここまでの思いを吐き出してもらうことで、一人ひとりが納得し、完了感を出して、前を向いて次に進んでいきたいからです。

会議室にコンチ制作チームが集まります。それぞれのメンバーがコンチに賭けてきた思いを吐き出します。

ここまで頑張ってきたのに・・・
もう少し自分の技術力や企画力があれば・・・
もっと開発を続けさせてくれれば、きっと面白くなるのに・・・

そんな悔しい思いを、開発メンバーの一人が涙ながらに語ったことをきっかけに、結果、全員が涙するという熱い振り返り会になりました。

・・・・・でもです。

そこでふと、僕は思うのです。

「おいおい、ちょっと待てよ」
「みんな真剣に涙流してるけど・・・」
「いっとくけど、このプロジェクト、コンチだぜ・・・」

そう思うと、悔しい一方で、危うく吹き出しそうになります。

仕事である以上、自分が関わっている以上、僕らは常に真剣です。
悔し涙を流すぐらいに打ち込みたいものです。

でも、えーと、いうても、コンチです。

そう思ったときに、ふと、にこやかな気持ちになって、心が軽くなるのです。

生きるって、そういうことではないかと思うのです。

生きることに人は真剣です。真剣だからこそ行き詰まる。でも、世の中のすべての行き詰った事象も、所詮、人間のやることですからね・・・どこかおかしみがある。コンチみたいなものです。

そう思うと、少しは人生が楽しくなってくるのではないでしょうか。

ということで、このエピソードからわかっていただけるかと思いますが、
すなわち、これが、カヤックがコンチを続けたい理由です。

――

春ということもあり、今回はさわやかな話にしてみました。

毎年4月は新入社員向けに社長日記を書いています。今年もカヤックには30人の新卒が入社しました。新卒の皆さん入社おめでとうございます。きっと最初の数か月は大変なことも多いでしょう。真剣だからこそ大変なのだと思います。そして真剣であるほど、時に悔しい思いをして、涙することもあるかもしれません。ですが、それでも心軽やかに、どうぞ、思いっきり楽しんでください。

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