2019.05.09
#面白法人カヤック社長日記 No.55東京オリンピックによって、 世界が何十倍も面白くなる ひとつのアイデア。
2020年東京オリンピックの公式チケット抽選申込が今日からスタートだそうです。
今回の東京オリンピックをどう楽しみたいか。考えているビジョンがあります。
それは、「2020年の東京オリンピック以降、世界の人が、自国の選手だけではなく他国の選手を応援するようになった」そんな歴史をつくれれば面白いなと思っています。
スポーツには様々なドラマがあります。オリンピックは、そのドラマが結集した劇場であり、その勝負に感情移入し、誰もが一喜一憂します。そのたった一度きりの真剣勝負が面白く、だからこそ、その頂点である金メダルをとる選手に最大の面白さがあるわけですが、一方で、必ずしも金メダルではなく、途中で敗退した選手であっても、それぞれの勝負があり、その勝負の裏には様々なエピソードやストーリーがあるのです。
そのエピソードを知れば知るほど、その選手を応援したくなりますし、それがスポーツ観戦の醍醐味です。「熱闘甲子園」なんかもそうですし、駅伝もその最たるものです。子供の頃は、いつ見てもただ黙々と走っている選手を見て、何が面白いのかさっぱりわかりませんでした。
そしてオリンピックは、世界中の選手が国の代表として一堂に会する最大のイベントであり、観客は、自国の選手に自分の国籍というアイデンティティを投影して応援します。その結果、自国の選手が出ていない競技に対する関心が薄かったりします。
そこでです。この考え方を進化させられないかというのが、今回の社長日記のテーマです。
自国の選手を応援する。これは素晴らしいことなので今後も続けるとして、せっかくなので、他国の選手も応援するオリンピックになったら、もっと楽しめるようになるのではないかと思います。平和の祭典というコンセプトにもふさわしい。
自国の選手をもちろん全力で応援するけれども、他国の選手を応援できるようになったら、自国以外の選手は物理的にたくさんいますので、オリンピックが何倍も楽しくなります。そして、何より、そんな世界観に勇気づけられる人がたくさんいるのではないかと思うのです。
鎌倉には鎌倉宗教者会議という取り組みがあります。何度かこの社長日記でも紹介していますが、東日本大震災以後、神道、仏教、キリスト教が一堂に会して、毎年お祈りしたりお互いのことを勉強したりという取組が鎌倉でスタートしました。この取組を見て、宗派を超えて手を取り合うことに感動し、勇気をいただきました。
UN高(素晴らしい講師陣が、良い話を全部うんこに例えて講義する学校)の講師の一人である佐渡島さんも、なぜジャニーズの嵐ファンは嵐が好きなのか、それは嵐のメンバーが仲良しなのを見るのが楽しいからだと言っていました。
前回の三代表制についての日記でも書いたのですが、3人の代表取締役がなぜ仲良くやり続けているかというと、もともと仲が良いからではなく(実際仲良しなのだけど)、3人で仲良く経営するという物語をつくっているからなのです。
子供は大人の世界を見て世界を学びます。相手を嫌いになるように教育すれば、嫌いになりやすくなる。大人がいがみ合っていたら、世界はそんなもんかと思うし、大人が仲良くしていれば、世界は仲良しの方向に行く。そんな単純なものでもないのが人間の心ですが、そういう単純な見方で世界を捉えるのも良いものです。
これは、“We Are The World”の世界です。ちなみに、”We Are The World”は、僕らの世代なら誰もが知っています。マイケル・ジャクソンらが音頭をとって、多くのミュージシャンが参画したプロジェクトです。
つまり、この2020年東京オリンピックを、”We Are The World”みたいにするってことです。
世界の人がみんな自国以外の人も応援する。そんな流れをつくることができたなら、日本でオリンピックを開催することの最大の価値になるのではないでしょうか。
ではどうやったら、そんなオリンピックになるかなと考えました。
単純に、オリンピックに出ている選手一人ひとりに、ひとつだけでいいので、誰が読んでも応援したくなるエピソードを用意して、それを全世界の人が母国語で見られるようにするのはどうかなと。動画でもテキストでも。
どの選手にだって素敵なエピソードがあるはずです。「挫折から復活した話」とか、「スラム街から誕生した地元のヒーロー」だとか、「自分の成功を支えてくれたコーチや親の話」とか、何でもいいので、とにかくその選手を応援したくなるとっておきのエピソードを集めて誰もが見られるようにするのです。
そんなことを考えながら企画書をつくっていたのですが、企画を詰めていくと、そこそこ大変なこともわかりました。応援したくなるというのは、ある種の感情の動きなので、シンプルすぎたり無機質なコンテンツだとそこまで心が動きません。しっかりとその選手の気持ちに感情移入できるように編集された情報が必要です。そこには、相応のクリエイティブが求められ、予算もかかります。
であれば、より多くのスポンサー企業を巻き込むのはどうかなと考え、オリンピックの公式スポンサーや、広告代理店の方に提案してみたりもしましたが、なかなか実現までは遠そうでした。
そこで、自分の企画には固執せず、もっと別の方法がないか、世の中に問うことにしました。
何かみなさん良いアイデアはないでしょうか。
「2020年の東京オリンピック以降、世界の人が自国の選手だけではなく、他国の選手を応援するようになった」となるためのアイデアです。
たとえば、これは無機質ではありますが、単純にWikipediaにオリンピック応援エピソードという項目をつくって、みんなで書き込むだけでも良いかもしれません。
あるいは、SNS全盛の時代、オリンピック開催中に、テレビ中継や観戦と連動して、その選手のいいエピソード記事を見つけて、みんなでシェアするというだけでも良いかもしれません。いいエピソードなら、きっと広まると思うので。
あるいは、まったく別のアプローチを考えてみます。選手村というものがあります。選手村のある地域は、その国の選手を、自分の地元の選手のように応援するようになったりしますよね。一晩一緒に泊まれば、もうマブダチですものね。
であれば、オリンピック期間中は、日本中の家庭が、家に他国の人を泊めてあげるようにするのはどうでしょうか。そしたら、泊まった国の人と一緒になって、その国の選手を応援する景色が見えてきます。つまりオリンピック期間中だけは、民泊の法律も一時的に変えて、国を挙げて民泊を歓迎するとか・・・
やや人任せではありますが、何かいいアイデアがあればのっかりますので、皆で考えていければと思います。
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