2020.10.30
#面白法人カヤック社長日記 No.77格言を深く突き詰めてみるシリーズ「継続は力なり」
久々の格言シリーズです。
今回取り上げたい格言は「継続は力なり」です。
今まで取り上げたのも比較的簡単な格言ばかりでしたが、今回のこの格言も誰もが知っている言葉です。これまでなにか継続したものがある方は、確かに続けるといいことあるなというのは体感としてわかっているのではないかと思います。
たとえば僕でいえば、この社長日記、いまは月1回から2回ペースで書いてますが、そもそもこの日記を始めたのは、2006年に日経BP社から連載オファーがあってからのことです。そこから8年間、毎週一度も原稿を落とさず書き続けました。それによって読書の習慣がつき、考えがどんどん深くなったように思います。文字通り継続によって、思考力を身につけたのです。
あるいは、今から7年前に立ち上げた鎌倉の地域活動カマコン。こちらは毎月第三木曜日の夜19時-21時に開催しています。立ち上げは自分たちが行い、運営を事務局がやってくれて、現在では一参加者として参加していますが、今まで一度も欠席したことがなく、そのおかげで鎌倉資本主義という考え方が誕生しました。
あるいは、一説にはあの徳川家康も行っていたとされる按腹法。お腹をマッサージする健康法ですが、もう何年も毎朝起きた瞬間からどこにいてもやるようにして、朝から元気にスタートできる力を身につけています。
・・・と継続していることを、数え上げればきりがないのですが、ただ、僕が今回この格言を取り上げたのは、今年、この言葉に隠されたさらなる意味を発見してしまったからです。
それは、22年間継続してきたカヤックの経営についてです。22年目にして今年、カヤックの経営スタイルに変化がありました。
カヤックは、同級生3人が創業し、3人が共同代表という形で経営を継続してきた会社です。そもそも同級生で始めた会社で、上場し、しかも上場後も同じ対等な立場でい続ける、これ自体が珍しいことです。しつこくこの3人体制で継続するうちにそれぞれの役割がはっきりし、ひとつのスタイルを築いてきた自負があるのですが、その3人の役割、すなわち関係性が大きく今年変わったのです。
端的にいうと今まで、それぞれの強みに合わせて役割を分担してきたのですが、その役割をまったく逆にしてみたのです。つまり本来は自分の強みであり、相手にとっては弱みだったものを、敢えて相手に任せ、逆に相手が強みとしていたことを自分がやってみる。その結果、新たなスタイルを手にすることになりました。
この決断をした背景には、2018年2019年とカヤックは業績が芳しくなく下方修正し(ちなみに、その報告とお詫びをこの社長日記でも書きました)、3年連続はさすがにレッドカード(退場)という覚悟で2020年に臨むにあたって、何かしらスタイルを変えなければまた同じことを繰り返すのではないかということから、思い切って変化に挑戦したという経緯があります。ある種、自分の進退を相手に委ねることにもなるので、非常に勇気のいる決断だったのですが、変化するということを重視するカヤックのセオリーに則った決断でした。そのおかげなのか、たまたまなのかはわかりませんが、今年は業績が回復し、期の途中で上方修正することもできました。
そして、このことによって学んだことがあります。それは、この3人の関係を継続し続けた結果、まったく違う役割に変わった。すなわち関係性が変わるということを体験したことにより、継続とは、相手との関係性がたとえ真逆になることさえ受け入れることなんだという気づきでした。
これはもしかしたら関係性に悩んでいる世の人へのヒントになるかもしれません、合わない上司との関係、あるいは夫婦の関係も、長く続けることで関係性が変わり、新しく見えてくることがある。これが継続することの価値なのかもしれません。やはり継続することそのものに何らかの意味があるんだなと深く感じたのが2020年でした。
P.S.
ちなみに、そんなことを今年ぼんやりと考えていましたら、創業者の一人が先週、こんなことをいいました。「創業者の3人は、忍耐強いという共通の性格があるな・・・」と。彼は何気なく呟いたのですが、ハッとさせられました。今まで同級生3人でうまくやる秘訣についてよく質問されましたが、そのような共通点があると回答したことはありませんでした。
ですが、上記で書いたような継続ということは、忍耐力があるということの裏返しでもあります。創業者の久場も、毎週、早朝から本社のある鎌倉の御成通り周辺のゴミ拾いをするという部活を部長として休まず続けています。もう一人の創業者である貝畑も、虫歯になっても行くのがめんどくさいからという理由で痛いはずなのに虫歯で歯がなくなるまで歯医者に行かないという驚異的な忍耐力の持ち主です。
この忍耐力があるということは、確かに共通していて、これは元から、たまたま3人に忍耐力があったのでしょうか。
いや、そうではなく、3人でやり続けることで、次第に忍耐力がついていったという方が正しい。すなわち「継続は力なり」の力とは、忍耐力のことなのかもしれないです。忍耐力があるから継続できるのかもしれませんが、継続することで忍耐力がつく、そしてその先に新たな発見と、新たな力を身につけることができるということなのだろうと思います。
ちなみに、過去の格言シリーズはこちらになります。
格言を深く突き詰めてみるシリーズ「ピンチはチャンス」
格言を深く突き詰めてみるシリーズ「背水の陣」
格言を深く突き詰めてみるシリーズ「類は友を呼ぶ」
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