2021.04.08
#面白法人カヤック社長日記 No.85一部の就職活動生に贈るかなりニッチなアドバイス。
新卒の就職活動の時期、真っ盛りですね。今回は就職活動生向けの記事です。
先日、とある学生さんから相談を受けました。
「内定が出た会社の承諾書の期限が迫っている。でも本命の会社は選考結果がまだ出ていない。行く気がなければあっさり断れるが、もし本命が落ちたらそこに行きたい。
承諾書にサインする以上、就職活動は打ち切ってくれと言われているし、もし本命から内定が出ても辞退しづらくなる、もちろん法的な拘束力がないことはわかっているが、失礼な気がして、どうしたらいいか迷っている・・・」
どこも内定が出てない学生からしたら贅沢な悩みですが、これはこれで就職活動あるあるなのかなとも思います。
そもそも、本命一本に絞って、受かったら行くので内定承諾することに迷いはありません! ・・・という人や、あるいは、行きたくない会社でもとりあえず内定承諾しておいて、後で断ることに何の後ろめたさもありません! ・・・って人。こういった人は、そもそも上記のような悩みはないはずですが、実際はなかなかそういかないのですよね。
今回はニッチですが、このような悩みを持つ人へのアドバイスをズバリと書いてみたいと思います。
まずその前に、どうして企業は内定承諾書の期限を設けているのか。企業側の理屈から解説してみます。
企業にしてみれば、人員採用計画があるので期間を切らないと数字が読めない。あるいは、その会社が第一志望であれば、内定が出た時点で承諾するのになんの抵抗もないはずですから、第一志望かどうかの確認にもなります。また法的には効果がないとしても、契約書を交わすと人間の心理上、辞退しにくくなります。さらに期限を切ることによって、進行している他社の選考をやめてもらおうという意図があります。
実際、他に迷っている企業があっても、内定承諾書を書いたタイミングで就職活動を終えてしまう学生も少なくないのではないかと思います。なんだかんだ法的な拘束力がなくても契約書のようなものは心理的に影響を与えます。これが、ほとんどの企業が内定承諾期日を設けている理由です。
・・と、ここまで書くと、ある種、企業の都合を重視したしきたりなわけですが、企業側の都合を突き詰めると「とにかく優秀な学生を採用したい」というニーズに帰結します。
であれば、もし自分が優秀な学生だとしたら、「もう少し他の企業を見てみたいから、他の企業の結果が出るまで待ってほしい」とぶつかってみるのは、交渉として十分通用するはずです。
この交渉にあたっては、企業側への配慮は当然必要です。他の企業を見たいというのはある種、学生側の理屈です。企業の都合に対して、自分の都合をぶつけるわけですから、そこの配慮ができるかどうかが、優秀さの証明そのものになります。「御社が第二志望だから第一志望の結果が出るのを待ってほしい」。そんな言い方をする学生を企業は採りたいと思えるでしょうか。実際に第一志望でない可能性があることを企業側は十分承知想定しています。が、相手への配慮がない言い方をする時点で、優秀とみなすでしょうか? という話です。
でも、相手の都合を理解した上で「私はこのようにしたいのです」と伝えることは、とても誠実なことです。採用において誠実さを重視している企業はたくさんあります。逆に、第一志望でもないのに第一志望ですと言い切れるある種のふてぶてしさ、内定承諾書を書いてもあっさり反故にできる心の強さ、そういったものを評価する企業も同様にたくさんあります。でも、自分がもし誠実な人達と一緒に働きたいなら、誠実な人が評価される会社に行く方が良いです。平気で嘘をつく人を評価する組織で働くことはミスマッチでしかありません。だからこそ嘘をついて入社するよりも、あえて誠実に行くべきなのです。
だから、思い切って誠実にぶつかってみましょう。自分が必要とされている人材なら、きっと期限を延ばして待ってくれるはずだ。と信じましょう。「待ちません」と表向きには言っても例外は常にあるものです。とにかく、ルール上そうだからと言って諦める姿勢をまずやめましょう。
これがまずは最初に伝えたいアドバイスです。このことを伝えるために、想定以上にしつこく長い文章になってしまったのですが、それは意外と世の中には「ルールだからできない」と思っている人が多すぎると感じるからでした。
ここまで読んで「いやいや、それは理解しているが、理想論であって、現実的には自分がそれほど他の学生と比べて優秀かどうかもわからないし、仮に優秀だと思っていても、そんな交渉を企業にする自信もないし、そもそも面接時にうっかり『御社が第一志望です』と言ってしまっているよ」・・・など、様々な理由からほとんどの学生は企業側には交渉できないというのも現実だろうと思います。
そこで、もう少し現実味のあるアドバイスを考えてみます。
そもそも、なぜ悩むのか。推測するに、それは内定承諾書というある種の契約書を交わした後であっさり反故にするということに良心の呵責があるということなのだろうと思います。
冒頭で書いたようにそこになんの後ろめたさも、ためらいもない人はそもそも悩まない。ためらう心理をうまく利用して、企業は囲い込みに使うということなのだろうと思います。
ただ、内定承諾書を交わしても辞退する人がいることも、法的な拘束力のないことも企業は十分わかっています。一定数の辞退が出ることも想定内です。
だから「まぁいいか、企業もそれぐらいは想定しているだろう」と思って、反故にするかもしれない内定承諾書にサインする自分の行動を正当化できます。
でも、ちょっと待ってください。この状況で迷うということは、おそらくあなたは誠実さを自分の人生の大事な要素としているのではないでしょうか。だとすれば、自分が誠実ではないと思う行動をするのは将来にとってマイナスです。自分の信念は過去の成功体験の積み重ねによってつくられていくからです。
であれば、そんな人にお伝えするアドバイスはこうです。
「御社に行きたいと思っている。だから内定承諾します。でも正直なところ他にも迷っているところがあり、そちらの就職活動は続けたいと思っています。どのような結果になるかはわかりませんが、御社に入社した暁には、その経験をちゃんと生かして期待に添えるように頑張りますので、いついつまで待ってもらえないでしょうか?」
これならどうでしょうか。この言い方なら、自分の中での誠実さが保たれ、ちゃんと得られるべきものは得られます。自分自身に、そして会社自身にも誠実さを保てたということになるのではないでしょうか。
以上、極めてピンポイントな状況に置かれている学生への僕からのアドバイスです。ただ、これすら果たして言えるのか? と思う人もいるかもしれませんが、いやいや。そんなことはないです。あなたは内定出ているのですから、恐れずに自信を持ってください。
なお、面白法人カヤックでは、入社の意思を確認するという意味で内定承諾書は書いていただきたいと思っていますが、期限が近づいても本人がいつまで待ってほしいと言われた時は期限を更新して待ちます。さすがにあまりにも期限が先すぎるとこちらも計画が立たないので難しい時はありますが、本人に納得して決めてもらうことが大切だと考えています。
そもそも、とにかく即戦力として早く入社してほしい中途採用者と違って、新卒の場合は入社の時期も皆一緒なので。少しくらい承諾期限をずらしても、それほど影響はないと考えるからです。
他に迷っている企業があるぐらいなら、心ゆくまでやってもらって、その上でカヤックを選んでいただいた方が、ミスマッチが減るとも思いますし、内定承諾書を書いた後の辞退率も低くなるだろうと考えています。(このある種の突き放した対応が、その分淡白に映ってしまうのが難点ですが・・・)
ということで、2022年新卒学生も絶賛募集中です。お待ちしております。
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